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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
第四十一話 勝負が続いてその四

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「多分実力は皆同じ位なのよ」
「高いレベルで」
「レベルの高さはともかく僅差だから」
 そのレベルがというのだ。
「後は機転とかコンディションとかよ」
「そういうので決まりますよね」
「あと運ね、それで今回はね」
「機転ですね」
「そう、機転を利かしてね」 
 それがというのだ。
「上手くいったのよ」
「そういうことですね」
「言われたの、沖縄で」
 故郷におられたその時にというのだ。
「戦い、試合は頭だってね」
「頭、ですか」
「頭を使って勝つものって言われたの」
「だから今回もですか」
「機転が利いてよかったわ」
 日菜子さんは自分が出したタオルで顔の汗を拭きつつ僕達にこうも話してくれた。
「さもないと危なかったわ」
「確かに。あのままですと」
 どうなっていたか、僕も言った。
「危なかったですね」
「あのまま追い詰められてね」
「それで息が切れたところに」
「攻められてたわね」
 相手のあの人にというのだ。
「そして負けていたわ」
「そうなっていましたね」
「絶対にね、けれどそうならなくてよかったわ」
 機転を利かして突進して一本を取ってだ、試合の主導権を確実に握られてそれで最後まで有利に進められてというのだ。
「本当にいい攻撃仕掛けられたわ」
「あの、若し」
 ここでだ、僕は日菜子さんにあえてこう言った。
「あの攻撃が失敗したら」
「その時のことね」
「どうなっていたでしょうか」
「負けてたと思うわ」
 あっさりとした口調でだ、日菜子さんは僕に答えてくれた。
「それでね」
「やっぱりそうなっていましたか」
「そうした意味で一か八かだったから」
 まさにだ、賭けでもあったというのだ。
「だからね」
「勝って、ですか」
「ほっとしてるわ」
 実際にだ、日菜子さんは微笑んで言った。
「よかったわ」
「ううん、一か八かだったんですか」
「あのままじゃ負けてたし」
「もう覚悟を決められて」
「突進したけれど」
「上手くいったんですね」
「ええ、そうだったのよ」 
 日菜子さんは汗を拭き終えてからはだ、休憩に入って述べた。
「こうした時ってあるわよね」
「はい、スポーツをしていると」
「一瞬の判断でどうするか決めないといけない時があって」
「しかもそれがですね」
「賭けみたいな時がね」
「確かにありますね」
「それがさっきだったのよ」
 三回戦だったというのだ。
「一か八か」
「どうするか」
「咄嗟に決めたけれど」
「それで勝ててですね」
「よかったわ、空手は機転とね」
 それとだった。
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