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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
第四十一話 勝負が続いてその一
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                       第四十一話  勝負が続いて
 日菜子さんは大阪代表の小柄な人との勝負で劣勢に追い込まれていた、このことは観戦している僕達も認めるしかなかった。
 それでだ、僕は一緒に観ている池田さんに苦い声で問うた。
「まさかと思ってる?」
「可能性は否定出来ないわね」
 池田さんは試合から目を離していない、そのうえでの返事だった。
「この状況だとね」
「はっきりと不利ってわかるね」
「ええ、日菜子先輩が攻めてもね」
「相手はかわして」
「その相手の人の攻撃は」
 それはだった。
「本当にね」
「的確だね」
「日菜子先輩も防いでおられるけれど」
「攻めながらで」
「もうどっちかにすべきかしら」
 攻撃か、それとも防御か。
「ここは」
「どっちにすべきかな」
「難しいわ」
 判断しきれていない返事だった、池田さんの今のそれは。
「正直なところね、私だったら」
「どっちを選ぶのかな」
「だから難しいわ」
「そう言うんだ」
「どっちかって言われたら迷うでしょ」
「大抵の場合ね」
 本当にだ、僕にしてもだ。バスケにしてもゲームとかで二者択一の場面になるとだ。一瞬でも大抵の場合はそうなる。
「迷うね」
「だからよ、この場合は」
「攻めるか守るかで」
「迷うわ、私の場合は」
「それで日菜子さんでもだね」
「多分先輩今考えておられるわ」
 その選択についてというのだ。
「攻めるか。守るか」
「どちらにされるかで」
「考えておられるわ、それは一瞬でも」
「その一瞬が長いよね」
「勝負の時はね」
「わかるよ、そのことは」
 僕にしてもだ、バスケでの経験からだ。
「本当に考える時間は一瞬だけれどね」
「その一瞬に考えることが多くてね」
「迷ってね」
「長いのよね」
「そうなんだよね」
「そしてその一瞬が命取りにもなるのよ」
 迷い、逡巡とも言うべきそれがというのだ。
「考えているその間にね」
「そういうものだよね、じゃあ日菜子さんは」
「多分今迷っておられるけれど」
 攻めるか守るか、まさにというのだ。
「それが命取りにならないといいけれど」
「切実だね」
「本当にそう思うわ、どうなるかしら」
 池田さんの言葉は次第に切実なものになっていた。
「ここは」
「勝って欲しいね」
「絶対にね、けれど」
「それでもこの状況だと」
「不利だから」
「流れ。変えられたらね」
「決めてね」
 決断、この言葉がとにかく今の日菜子さんには重要だった。僕と池田さんは観ていてこのことを強く認識した。
「そうしてね」
「そうだね、まずはそれからだね」
「どっちつかずが一番まずいから」
「攻めることと守ることを一緒にすることが」
「こう
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