第二話 Stヒルデ大図書館
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陛下に謝りに行った翌日、そろそろ試験日が近づいているのもあり、僕の足は自然と図書館に向かうようになっていた。 勉強するなら図書館、調べ物も図書館、大切なことを話すのも図書館。 自分でも驚くほど図書館を神聖化していた。 変人かと思われるかもしれないが、事実、学院の図書館は無限書庫など特殊な物を除けば、クラナガン最大の本の巣窟。 神聖化はやり過ぎとしても、非常に素晴らしい場所なのに変わりはない。
目的の本を見つけるため、そびえ立つ本棚の間を進んで行く。 奥に進めば進むほど図書館内を照らしていた太陽の光は弱くなり、巨大な本棚はなんとも言えない不気味さを醸し出す。 無意識のうちに歩調が遅くなる。
この雰囲気は嫌いじゃない。 むしろ居て心地いいものがある。 静けさ、薄暗さ、埃っぽさ、圧迫感、どれを取っても普段感じるのとは違う不思議な感覚。 足を止めて瞼を閉じて耳をすます。 身体全体で空間を感じ取る。
「まだいける......まだいける......セーフ、セーフ。 もうちょっと、あとちょっと、先っちょだけ......!」
雰囲気を一瞬で破壊したのはどこか聞き覚えのある声だった。 瞼を開き、何か踏ん張って震えていると思われる声の発生源??天井を見上げる。
真っ先に視界に入ったものはイチゴ。 白地の布に真っ赤なイチゴがプリントされているもの。
「......コロナ、そこで何をしている」
「シルトさんごきげんよう! 助けてくださいお願いします! いろいろ限界です!」
巨大本棚の約六メートルほどの高さで陛下の友人、コロナ・ティミルは懸垂をしていた。
「アインハルトに習って懸垂......いやぁ、コロナは努力家だね。 でもあの領域まで踏み込んだら人じゃなくなるけどいい?」
「シルトさんには懸垂してるように見えるんですね!? なら説明すると降りれなくなったので助けてください腕がもげますぅぅぅ!」
瞳に涙をいっぱい溜めて悲痛な叫びを上げる女の子を放っておく鬼になったつもりはない。 飛行魔法で一気にコロナのいる場所まで飛び、背後から抱きかかえる形で救出する。
「ここは高いとこの本を取れるよう限定的に飛行魔法の使用許可出てるんだけど......知ってた?」
「シルトさん! 人は空を飛べません!」
「ああ、使えないのね」
「人間の身体は空を飛ぶようには出来てません。 常識的考えて飛べる方がおかしんです......」
考えはすごくよく分かるが、飛行中に関わらず両足をブラブラさせるのはやめて欲しい。 脛に当たって地味に痛い。
飛行魔法は完全に適正依存のため、練習してどうこうは難しい。 けどそれは空戦を考えた場合だ。 空戦を考慮しなければ最低限の浮遊くらいは誰でもできる。 試しに飛行魔法
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