case.4 「静謐の檻」
Z 同日 PM7:49
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はないか?もしかすれば、既に死んでいると確信していたのかも知れない。そうでなければ、過去帳に失踪した年を書こうなどとは思わないんじゃないのか…?そもそも、これではあの掛け軸は一体どう説明すれば良いのだろうか…?
「あと、これなんですが…。」
考えて事をしている俺に、田邊は俺が持っていたコピーから一枚取り出して見せるように置いた。
「これは山之内さんに頼んで、市役所で取ってきてもらったものですが、ここ…見てください…。」
それは山之内家の戸籍謄本だった。一般的に亡くなった人は除外されるが、そこには何故か、未だ龍之介氏の名前が記載されていた。一応削除印はあるが、まるで古い手書き時代の産物の様で、全く不自然なものだったのだ。
「…なんだこれは?」
「そうなんです…。ちょっとおかしいですよね?通常じゃ考えられないんですけど、どうも…これも尚輝氏が頼み込んだみたいです。一応は亡くなったことにはしてみたものの、全て削除するでもなく、まるでアリバイ作りみたいな感じがしますよね…。」
「アリバイ…ねぇ…。」
果たして…公的機関がこんな頼みを受け入れるんだろうか?何にしろ、龍之介氏の死亡年月日は失踪後九年目の日付が入っていた。尚輝氏が亡くなった今でも、なぜ修正されないまま残っているのか?まぁ、役所の人間も解らないだろうがな…。
「一体…三十三年前に何があったんだ?」
俺が疑問を呟くように声に出すと、田邊は徐に手帳を出して話出した。
「先生。その三十三年前なんですが、龍之介氏はこの旅館を土地ごと売ろうとしていたようです。」
「はぁ!?ここを全てか?」
「はい。ですが龍之介氏が失踪したため、その話は白紙になったんだそうです。」
「だが、当時でも山之内家はここを売る必要は…。」
「ええ、ありませんでした。山之内家と言えばこの土地の名士で、古くからの資産家です。ですが…龍之介氏という人物は、どうも金に執着する人物だったようで、高く売れる時に売り払いたかった様ですね…。」
随分と意地汚い人物だったようだな…。確かに、今ではそう高値では売れないだろうが、先祖伝来の土地を金に換えようなんて…。
「だが田邊。それで龍之介氏が失踪するなんてのは、ちょっと考えられないんじゃないか?」
「それも調べてみましたが、何一つ出てきませんでした。」
田邊はそう言うと、そっと手帳を閉じたのだった。
外は漆黒の闇…。だがこの闇の中で、得体の知れない何かが蠢いているような気がした。
「田邊君、もう休みなさい。明日は十時から練習だからな。」
「はい。それじゃ先生、失礼します。お休みなさい。」
そう言うと、田邊はそのまま部屋から出ていった。俺が考え込むと長いことも、それを邪魔されたくないことも田邊はよく心得ている。
「良く出来た助手だよ。」
田邊が
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