case.4 「静謐の檻」
Y 7.3.AM10:49
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…もしくは尚輝氏自らが何かをしたからこそ、打ち切りにさせたと考えるべきじゃないか?だが、その本人は既に病死して話を聞くことも出来ない…。
「佐野さん。先代の尚輝氏は、確かに病死だったんですか?」
「ん?あぁ…表向きはそうなってるが、調書では自殺らしいことも仄めかされいたよ…。それ以上は分からんがね。」
佐野さんの話を聞き、俺と相模は眉間に皺を寄せた。このことを山之内氏は知ってたんだろうか?いや…妻である彼女が知らない筈はない…。では、そうと知っていてわざと隠したのか?
「それ、山之内夫人には伝えてあったんですか?」
俺が口を開く前に、相模が佐野さんへと問い掛けた。佐野さんはその問いに、少し困った様な顔をしてこう答えた。
「どうやらなぁ…伝えてないようなんだ。自殺らしいと分かったのは、病死と判断されて随分経ってからなんだ。今更“自殺かも知れませんでした"なんて…そんな曖昧に伝えられるこっちゃないだろう?」
「どういうことですか?」
「まぁ…当時は俺もここに居なかった。どう調査されて終了したかは、もう推測の域を出ない。もしかすると、それとなく伝えたかも知れんが、なんせこの田舎町だ。事件性が無いと分かっているんだったら、無理に伝えることも無しと考えたかも知れんからなぁ…。」
何だろう?この暗雲が垂れ込めいる様な感じは…。
確かに、龍之介氏の失踪は三十年以上も前で仕方ないとしても、尚輝氏の亡くなったのは一年前…。まぁ、事件性無しで大半は破棄されたのかも知れないが、どうしてもしっくりこない。何か小骨が喉に刺さっているような…嫌な感じがするのだ…。
「佐野さん。もし…もしですよ?失踪した龍之介氏が殺害され、それを何らかの形で隠蔽されているとしたら?」
「藤崎君。仮にそうだとしても、既に時効だよ。民事では有効だが…刑法では裁けない。」
「でも、解決に意味はありますよね?」
「まぁ…それはそれで良いとは思うがね…。」
佐野さんは別にどうと言う風もなく、力無さげにそう言ったのだった。
その時、一人の男性が書類を持って部屋へと入ってきて、直ぐ様佐野さんの元へと歩み寄った。どうやら検死の結果を持ってきたようだ。書類を渡された佐野さんはそれを読むなり、はっきりと顔色を変えて俺達へと顔を向けた。
「こんなことが…あって良いのか…?」
俺と相模は顔を見合せ、呆然としている佐野さんへと問った。
「何が書いてあるんですか…?」
俺がそう言うと、佐野さんは未だ前に立つ男性に「君、これを説明してやってくれ。」と言って投げてしまったのだった。
その男性はまだ若く、内容を知っているためか顔色が悪かった。
「警部…。これを一般人に明かして良いのでしょうか?」
「いいんだ。そもそも、この二人は一般人とは言えんからな。」
どういう意味だ
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