二十話:お風呂と日常
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ようが、お前の全部を倒す気でいるんだ。出し惜しみなんてされたら堪ったもんじゃねえよ」
「全くだ。ま、私を倒した相手が強くないと納得できないというのもあるけどね」
「ミカさんまで!?」
次から次へと現れる知人の登場に驚くジークだったが、のんびりしている時間など当然存在しない。ミカヤがあろうことか生まれたままの姿で無防備なジークに斬りかかろうと構えていたのだ。
咄嗟に命の危険を感じ取ったジークは自然とエレミアの神髄を発動させて襲い掛かる刀を防ぐ。
「あれ? 竹刀…?」
「まさか、風呂場で真剣を振り回すほど私も酔狂じゃないさ」
竹刀をへし折られたにもかかわらず何事もなかったように壊れた竹刀を片付けるミカヤ。
ジークはそこで自分がミカヤの殺気により錯覚させられていたのだと気づき冷や汗を流す。
「全力を出した君と戦って勝つことにこそ意味があるんだ。だから君が悩む必要なんて少しもないよ。選手なら負傷は覚悟の上だからね」
そう言ってかつて壊された自分の右腕を元気良く振ってみせるミカヤ。
その顔は本当に綺麗な笑顔で何一つ恨みがないことを如実に語っている。
ジークはその笑顔に本当にみんなは凄いなと改めて思う。
「それと、これは回復完了のお披露目だよ」
「え? あーーー!!」
「はっはっはっ。中々いい体をしてるね。まあ、私程じゃないけど」
パラリと捲れ落ちる純白のタオル。無防備にさらけ出される少女の裸体。
捲れたところから見えるまだ成長途中の青い果実。
小さくも形がよく、先端はツンと尖っており穢れなど知らぬ様に美しいピンク色をしている。
その姿は誰しもが美しいと言わずにはいられないだろう。
思わずハリーが興奮して見入ってしまうのも無理はない。
「外で愛しの彼もヴィクターの折檻を受けながら待っているよ、早く上がってくるようにね」
「い、愛しの彼って……ん? え、折檻って何があったん!?」
「はっはっはっ」
「いや、笑ってないで教えてーや!」
「そうだね、リヒターが君を追って女湯に突入しようとしていた……と、誤解してしまってね。そのことをヴィクターとハリーに教えたらいつの間にかそうなっていたんだ。まあ、ハリーは途中で誤解に気づいたみたいだけどね」
「ヴィクターはなんでやめんの!?」
からかわれてしまい顔を真っ赤にするジークだったが直ぐに何かがおかしいことに気づくと驚愕の表情を浮かべる。
ミカヤはそれに対しても満面の笑みを浮かべながら事実を告げるだけで助け出す気などさらさらない。この女確信犯である。
そしてヴィクターも試合前の件のうっぷんを晴らすために誤解だと気づかないふりをし続ける。
リヒターの人生の終わりが冗談抜きで近づいていたのだった。
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