巻ノ七 望月六郎その二
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「それでな、しかしな」
「本能寺でああしたことが起こり」
「そしてですな」
「天下はまたわからない様になった」
「左様ですな」
「そうじゃ、そのせいで信濃も戦乱が起ころうとしておる」
織田家が信濃を手中に収めていたがその織田家が主をなくしてしまいだ。
「北条、上杉に徳川も来る」
「そのうちで一番厄介なのは」
「おそらく徳川じゃな」
根津の問いにこの家を出した。
「あの家じゃ」
「徳川家ですか」
「家康公は戦上手、そして信濃にもすぐに兵を出せる」
だからだというのだ。
「しかも兵が多いだけでなく家臣の方々も揃っておる」
「徳川十六神将ですか」
「その中でも四天王の方々ですな」
「確かに家臣の方も揃っていますな」
「実に」
「ぞうじゃ、だからな」
それ故にというのだ。
「我等の敵はな」
「徳川家ですか」
「あの家ですか」
「上田まで来る」
そして戦になるというのだ。
「まずな」
「北条や上杉は」
「上杉とは手を結ぶことになる」
幸村はこの家については心配していなかった。
「上田に来るまでに」
「では北条は」
「あの家は」
「北条は関東にも佐竹や宇都宮、里見等がおる」
北条の敵がというのだ。
「関東の古い名家の多くとことを構えておるし甲斐や上野から信濃に入るにしても」
「何かありますか」
「それでも」
「うむ、北条家の拠点相模から遠くな」
上田はというのだ。
「徳川家と話をつける可能性が大きい」
「信濃に入るよりも東国ですか」
根津がここで幸村に問うた。
「だからですか」
「そうじゃ、北条家はそもそも東国に目を向けておる」
「信濃よりも」
「その為にやがて徳川家と和解して信濃や甲斐には深く入らぬ」
「では信濃に来るのは」
「徳川となる」
残るこの家だというのだ。
「もうそろそろ兵を動かしだしておるな、そして徐々に北に上り」
「上田にもですか」
「来るであろう」
「では徳川家が上田に来るまでに」
「拙者は天下の豪傑をさらに集めそのうえで上田に戻り」
そしてというのだ。
「御主達に上田を見てもらう」
「そこで戦うからですな」
「戦になる地のことをそれがし達に知ってもらう」
「そうなのですな」
「確かに徳川家は主の家康殿は天下の傑物」
幸村も認めることだ。
「家臣の方々もきら星の如く、兵も多く強い」
「敵に回せば手強い」
「そのことは間違いないですな」
「明らかに真田よりも強い」
「そうですな」
「しかし我等も兵は強く」
あの天下一の強さを誇った武田の軍勢の中でもとりわけ精強なことで知られていた。
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