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第一話 二人の聖王と一人の覇王
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い。 むしろ目覚し過ぎて陛下の女の子らしさに支障を出さないか心配だ。
 
 走って登ったならその逆で走って降りて......ダメだ、陛下にそんな危険なことさせれない。 学院内は基本的に飛行魔法禁止だし重力操作魔法なんて使えないしどうしたものか。
 
「そうだイゼットくん、ダルマ落としだよ!」

「ダルマ落とし?」

「イゼットくんの切断砲撃で木をスパッと。 去年の合宿みたいに!」

 さすが陛下は言うことが違う。 伐採する案など考えもつかなかった。 学院内の木を勝手に伐採するのはちょっと戸惑いもあるけど、陛下のためなら仕方ない。 無断伐採は陛下の安全を優先しましたと言えば聖王教会運営のStヒルデなら許してくれる....はず。

 だって相手は”陛下”だから。

 でも緊急自体とはいえ陛下の立場を利用するのは気持ちの良いものじゃない。 可能なら木を伐採せず陛下を安全に木から降ろしたい。 それに、

「管理局との友好記念樹を切り倒すのはなぁ......」

 仮にも聖王家の血を引く僕の手で学院と管理局の友好記念樹を伐採とか酷い冗談だ。 笑い話にもならない。 木の大きさからしてそこそこ樹齢はありそう。 たぶん僕らの生まれるずっと前、学院創立前後に植樹された思われる。 あれっ余計伐採しにくくなってきた。

 陛下の言う切断砲撃は砲撃魔力を刃のように飛ばす技術だ。 一般的に想像される”魔力を束ねて撃つ”よりかは”魔力の圧縮して塊を撃つ”に近い。 結局どっちも砲撃魔法に殆ど変わりないけど。 違いは前者はミッド式に多い砲撃で後者はベルカ式に多い砲撃だってくらい。
 手加減出来ないのはもちろんベルカ式。 切断砲撃なんて甲冑や障壁ごと相手を....と真っ黒な開発歴史が残されてる。 木を伐採する平和利用法を考えた陛下を見習ってほしい。

 問題は切断砲撃を撃った後、後ろの立派な建造物はどうビフォーアフターするかだろう。 そこそこの出力を出せば木を貫通して建物を切断する、絶対。 出力を抑えれば建物は無事、でも木は切れない、絶対。 細かい出力の調整は膨大な魔力量のせいで無理。 困った。

「??あ! イゼットくん! 切っちゃうよりいい方法思いついちゃった!」

「本当ですか陛下? よろしければその案をボクに教えてくださると幸いです」

「イゼットくんの魔力糸を伝ってするするーって木から降りればいいんだよ。 前に管理局の人やってるのテレビで見たんだぁ」

「陛下、あれは”空飛ぶ陸戦魔導師”と呼ばれる空挺部隊です。 厳しい訓練を積み重ね取得した技術と思われます。 真似るのは難しいですよ」

「絶対、大丈夫!!」

 陛下は可愛らしくウインクをして成功を確信している。 相変わらず心の中を身体で表現する癖のせいで枝か
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