第七話
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入らないことに気づいた。どうしても窓枠にかけた足を動かすことも、床で踏ん張ろうとした足も動かないんだ。
同時に急に視界がグルグル回り始める。悪寒がし、体が震えるのを感じた。その感覚はどんどん強くなっていく。いつのまにか汗が全身にまとわりつく。
俺の異変に気づいた奴は一気に俺との距離を開くべく逃走し、俺を振り返った。
逃がすもんかと自分の体に鞭を入れようとするが、まったく反応しない。おまけに視界が端から黒くなっていき、その暗闇が次第に俺の視界を蝕んでいくんだ。
「シュウ、どうしたの! 」
背後から少女の声が聞こえるけど、答えることができない。
やがて立っていられなくなり、窓枠から足を踏み外す。慌てて窓枠にしがみついて転倒だけは防げた。
なんだ……? どうしたっていうんだ、よ。
狭まる視界の中で、奴が、口もないはずの奴が嗤ったように見えた。
そして俺を勝ち誇ったように睨みつけながら地面に沈んでいく。そして完全に地面のなかに没した。
逃げられた……。
それで緊張の糸が切れたんだろう。
少女が俺に何かを話しかけてくるのが聞こえたけど、もう何も答える気がしなかったし、できなかった。体に力が入らないし、視界も真っ暗、音も聞こえない……。
俺はブラックアウトした。
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