第七話
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ャンプさせる布石。そのために取り囲むように放った触手の網の上のほうを意図的に開けていたんだ。宙に浮いた状態では回避行動は取れないからね。
何十本の針のように尖った触手が一気に俺に向かってきた。
【やるじゃん、バケモノ】
また声が聞こえる。
体が急に軽くなったように感じる。襲いかかる触手の先端に足が触れたかと思うと、それを踏み台にして俺はさらに後方に飛んだんだった。
全くの無意識の行動だった。針よりも鋭利に尖り、触れば何でも貫きそうな触手を踏み台にしてどうして無傷なのかは解らない。しかし、それが能力なんだと納得する。
触手は俺を捉えることができずにそのまま天井を貫いた。
そして勝負は決した。
奴にとっての必殺の罠。必殺の攻撃だったため、奴は次の手を考えていなかったんだ。そして油断もしていた。
突き刺さった触手は天井に深々とめり込んでいたため、駆け寄る俺に攻撃するには遅すぎた。
奴の「背後」にたどり着いた俺は、力任せのパンチを奴の体でもっとも大きい瘤に向けてたたき込んだ。何の抵抗もなく、俺の拳が奴の体内に入り込んでいく。その瞬間、奴のからだが一気に膨らんだ。
巨大ゴム風船を殴ったような感触がした。同時に体が奴の膨らんだ皮膚に押され、否応なく後退させられる。
俺のパンチはぶよぶよのゴム風船のように変化した奴の皮膚に阻まれ、瘤まで手が届かなかった。あと数十センチなんだけど。瞬間的な反応としては奇跡的に素晴らしい対応だった。この防御を取らなかったら、確実に俺は瘤を破壊していたはず。
だけど、それまでだった。
再び反撃しようと突き出された触手など、もはや完全に見切った俺にとって意味など無かった。同じ攻撃など無意味だ。一本一本潰すのも面倒なので、触手の二箇所の付け部分を狙い、集合した触手に絡みついた糸に触れ、一気に切断する。
激しく血を噴き出し、全ての触手が切り落とされ床に落ちる。千切れた触手はピチャピチャと床で跳ね回りすぐに動かなくなった。
奴は転がるように回避行動を取る。触手を再び生やすには何かが足りないのだろう。かつての如月流星の手と足を使い、四つんばいで這い回るように逃げるしかない。
脇腹の付近に現れた眼には、明らかな恐怖の色が出ていた。
「シュウ、今よ。そいつを倒しなさい」
「言われるまでもないよ」
少女の声に呼応し、俺は駆け出す。一足飛びに距離を縮めると右拳を握りしめた。
キーキーという悲鳴に思える声が聞こえる。それは奴の悲鳴なのか。奇妙な体勢から奴はジャンプし、その勢いのまま窓枠から転がるように外へと飛び出した。
「逃がすかよ」
俺は叫び、窓枠に足をかけて、外へ飛び出そうとする。
しかし、次の瞬間、窓にかけた足に力が
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