第六話
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着地すると、そのまま少女の側に駆け寄り、倒れ込む彼女を抱きかかえた。
それは時間にして1秒に満たない出来事だったはず。
俺は奴の必殺の攻撃を全てかわし、さらに倒れる少女を抱き上げることに成功したんだ。
全ての触手が目標を捉えられず、壁に床へと突き刺さる。
「なんですとぅ! 」
素っ頓狂な声を上げる如月。しかし、さすがバケモノ。驚愕から瞬時に立ち直った彼が再度攻撃をしようと触手を再び振り上げようとする。
触手は少しだけ動いたが、いくつもの赤黒いラインがまるでひび割れのように触手全体に走ったと思うと、一気に崩壊した。それは触手が爆発したようにも見える。肉片と血液が床にぶち巻かれる。
「ウッギャー! 」
教室中に彼の悲鳴が響き渡った。
激痛に襲われた如月は吹っ飛び、床を狂ったかのように転がり回る。
「何なの、これ。……お前は一体」
俺の腕の中で金髪の少女が驚愕の表情を見せ、俺を見る。
「さあ。わからない。でもここから逃げ出せる可能性が高まったよ」
瘤や血管のようなものは生物の崩壊点のようなものなのか? 俺はそんな仮説を立てていた。血管のような糸を斬れば血が噴き出し体組織は切断される。瘤を潰せば、その瘤の影響範囲にある体組織は組織の形を維持できず崩壊する。
線の様なものは体の部位部位を繋ぐ糸、瘤はきっと急所なんだ。……たぶん。
でもそれは普通、生物とかの体内にあって触れることはできない。でも俺はその糸や瘤が見えるし、しかも掴むことも潰すこともできるんだ。……相手の死をこの手につかみ取ることができる能力。
そんな力、本気で現実なんだろうか? そんな疑問も起こるけど、まあどうでもいいや。考える時間も無いし、今は攻めるしかない。
いまだに悲鳴を上げて転がり回っている如月流星。
【おいおい、まだこれからだろ、如月。もう少しやる気を出してくれよ。でないとあっさりと潰しちゃうよ】
俺は奴の体を見る。
奴の胴体の腹の辺りに一際大きな瘤があるのが見える。だが、それは緩やかな螺旋を描くように回転しながら胴体の中をを行ったり来たりしている。しかもそれは体表面ではなく、どうも体のかなり深い場所にあるのが透けて見えるようだ。
あれが奴のコアで、あれを潰せば斃せる……のか?
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