プロローグ――ひねくれ剣士
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いたラドンはどうもできず呆然としていた。
辺りに響いたデュエル終了の合図を聞いた俺は踵を返すべく前かがみの姿勢から立ち上る……はずだった。
ラドンが攻撃しようとして硬直していたソードスキルが俺に命中する。その衝撃で俺は地面に突っ伏す形となってしまった。デュエル自体はすでに終了しているため俺にダメージはない。だけどなんていうか、痛い。主に精神が。
俺の無様な光景を見たラピスは腹を抱えて笑っていた。
「あはははは。デュエルに勝って尚且つ観客を魅せるとかもう最高っ」
「っせぇなぁ。勝ったんだから文句言うなよ」
俺は愛剣を腰にぶら下げた鞘へと納めながらラピスの元へと向かった。
デュエルが終わったからか周りにいた観客は各々散りじりにその場を後にしている。対戦相手でもあるラドンとその子分らしき男は俺達には何も告げず逃げるように消えていった。まぁ何か言われたからと言って大したことも言えないのでむしろ好都合かもしれない。
周りでは誰も聞いていないと思うので更に続けて愚痴をこぼすことにした。
「第一人に見せるためにデュエルしたわけじゃねぇのに。はぁ」
思わずため息がこぼれる。あまり他人にに見られたくないんだよなぁ。
俺の様子を見たラピスは「ふっ」と息をこぼすとニコリと笑った。
「ま、何はともあれ私のこと助けてくれたのは嬉しかったよ。ありがと」
ラピスの笑顔にたまらず言葉に詰まった。こうも素直にお礼を言われてはなんと返したものか困ってしまう。
「まぁなんだ。それなりの報酬はもらうわけだからな。当然のことをしたんだから礼なんて言われる謂れはないぞ、うん」
俺の言葉にラピスは「あはは」と声に出して笑った。
「男のツンデレは流行らないぞ?少しは素直になったら?」
「はいはいツンデレツンデレ」
ラピスの言葉を半ば聞き流すように受け答えするとどこかのツボにでもハマったのかまたしても笑い始めた。
ひとしきり笑うと「うん」と気合をいるように呟いて俺の手首をつかんだ。
「とにかくこれで目的地は決まったね」
「目的地は決まったけど俺の腕をつかむ必要はないんじゃないですかね?わざわざ引っ張らなくてもついて行くぞ?ケーキのためだし」
俺の反応にラピスは「そう?」と少し残念そうに言っって手を放した。あまりその理由について詮索するのは止めておこう。色々考えると恥ずかしくなってしまう。
「ほら、さっさといくぞ?」
恥ずかしさを紛らわすようにそんなことを口にした。
「そうだね」
ラピスは踵を返し一歩俺の前へと出た。
「本当にありがとう」
ラピスの優しい声音はどことなく本音であるような気がする。いや、きっとラピス
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