プロローグ――ひねくれ剣士
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っていることに変わりはない。このまま続けばラドンが負けることは目に見えている。俺はそのまま体勢を立て直されないよう間髪いれずに攻撃を加えた。
上手く剣を振るえないラドンは攻撃を避ける事に精一杯だ。
さてラドン側のこういった状況の対処方法は実は簡単な方法がある。それは一度攻撃を受けてしまうことだ。残念ながら細剣の威力は全武器の中でも低い方である。高威力のソードスキルであれば話は別となるのだが、通常攻撃では一撃くらい貰っても致命傷を受けることはまずない。
俺の見立てではラドンもそこそこの実力者ではあると思う。ならばそろそろ対策方法に気付くころのはずだ。
辺りがしんと静まり返り周りにはブーツが床を蹴る音と、剣が獲物を掠める音のみが響く。
静かな空間の中、俺は単調な攻撃をしつつもラドンの僅な動きに注意を払っていた。少し間攻撃を続けているとラドンに動きがなくなったのが視界に入る。おそらく俺の攻撃を受けに来たのだろう。その様子を確認した俺は咄嗟に攻撃の手を緩める。しかし攻撃そのものを止めるまでには至らず、微弱な攻撃を受けたラドンは俺にだけ見えるように勝ち誇った様な笑みを浮かべた。
俺が何か言い換えそうかと考えるのも束の間、ラドンはすぐに剣を構えた。俺が掠め続けた攻撃でもラドンのHPは確実に消耗している。余程の実践慣れをしていなければ焦りが出るのが人としての性質というものだろう。俺の予想では必殺の一撃、ソードスキルを放ってくるはずだ。
両手剣は細剣とは違い一発の威力が大きい。発生までのタイムラグが短い広範囲技でも初撃決着モードを終わらせるには充分なダメージが入る。しかし、それも来ることが分かっていればさして怖くもない。向こうが威力の両手剣ならこちらはスピードの細剣だ。両手剣なんていうデカブツよりも発生スピードの速い技は幾らでもある。それに加えラドン自身のHPも大分消耗している。一撃で充分カタは着くだろう。
俺はラドンの攻撃を避けようと半歩後ろに下がる。その様子を見たラドンはいよいよ口許を怪しく歪ませた。勝利を確信したのだろう。つい可笑しく思い鼻で笑ってしまった。
俺の反応にラドンはどう思ったかは分からない。半歩下がった俺は左足を軸にして、時計回りにおよそ40度程度体を捻りその勢いで右腕を後ろに引いた。そして引いた腕をラドンの下半身に向けて勢いよく突き出す。
ソードスキル「オブリーク」、下段に放つ突き攻撃だ。
似たようなソードスキルにリニアーというものがあるが、オブリークはそれよりも範囲が狭い分威力が大きい。ソードスキルを放つために身動きが取れなくなっているラドンに攻撃を当てるのには攻撃範囲など不要だ。
俺が放ったオブリークがラドンの右足に命中する。ソードスキルを放つべく硬直して
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