プロローグ――ひねくれ剣士
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けたいところだ。
既に準備は終え、開始の合図が出るカウントダウンが開始されていた。
皆が固唾を飲んで見守るなか対戦相手であるラドンが重そうな両手剣を鞘から抜きながら俺に話しかけてきた。
「お前には悪いがあの子を手に入れるためだ、大人しく負けてもらうぜ」
ラドンの言葉に俺は薄く笑う。
「俺もあんたにゃ恨みは無いがケーキの為だ。大人しく斬られてもらうぜ」
そう言って俺は腰にぶら下げた鞘からラドンの剣とは対象的な小柄で細い剣を取り出した。
カウントダウンもいよいよ大詰めで残り2秒となっている。そろそろ神経を集中させようとしたとき、俺の剣を見たラドンが急に笑いだした。
「そんな剣で俺に勝てると思ってるの?」
デュエルが始まる直前、俺は言い聞かせるように口を開いた。
「剣はデカけりゃ良いってもんじゃないぜ」
言い終わるのとほぼ同時にデュエルが始まる。開始のゴングが鳴るのを聞いた俺は剣を真横に構え即座に前方へ駆け出した。
俺の武器は見た目は片手剣だが分類上は細剣として扱われている。故に片手剣よりも瞬間火力で劣るがその分連続攻撃によりダメージの持続力に長けているのだ。まぁ理論上では全ての武器のDPS(1秒辺りのダメージ量)に変わりはない。要はプレイヤーの腕次第でしかないのだ。
ラドンは愚直に突っ込む俺を見て明らかに動揺していた。
無理もない。本来デュエルは先手必勝というわけではなく、相手の出方を伺いそれに対応する形が一般的だからだ。というのも既にPVP(プレイヤー同士の戦闘)におけるセオリーは確立されていて、相手がこうすればこうする。相手の武器はあれだからああする。と言ったものが一般的に認知されていて昨今では暗記されるほどに浸透していた。それを踏まえた上でどう立ち回るかがデュエルにおける重要な部分でもあるのだ。
ここで今回俺が取った行動は先手必勝作戦である。
敢えてセオリーを崩す事により相手に精神的動揺を誘い判断を鈍らせる作戦だ。加えて相手の武器は両手剣。見た目からして重そうなその剣は攻撃の発生が遅く、対して細剣の攻撃の発生速度は速い。余程の反応力がなくては防ぐ事はままならないだろう。
加えて俺のステータスは素早さ極振りだ。
俺は一瞬でラドンの元まで詰めると後ろに出していた剣を左上へと切り上げる。ラドンはそれを後方へとバックジャンプする事により俺の攻撃を掠める程度に止めた。
しかしそれでも僅かながらダメージは負っている。ラドンが体勢を立て直すよりも早く今度は左から右へと振りぬく水平切りを見舞った。反撃を試みていたのだろうか、ラドンは剣を振り上げようとしていたがとっさの判断で再びバックジャンプで攻撃を避ける。しかし僅かながらダメージは負
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