プロローグ――ひねくれ剣士
[7/11]
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
んじゃねぇの?」
言い終えるとラピスは諦めた表情で僅かに息を吐いた。
「そっか。じゃあしょうがないね。ごめん、さっきのは忘れて。私がなんとかするから」
ラピスは力ない声で言うと凄く悲しそうな表情を見せる。しかしそれも一瞬で、すぐにいつもの顔に戻ると、軽く片手を挙げて踵を返し去っていった。
俺は今日何度目かのため息を吐く。
少し奥、10メートル位奥でのラピスと男二人の会話が耳に入ってきた。
「ん、嬢ちゃんデュエルはしなくて良いのか?」
ラドンの言葉にラピスは誤魔化すような笑みを作る。
「その相手って私じゃダメかな?」
何を言うかと思えば……。俺だけじゃなく男二人も呆気に取られている。まぁラピスなら問題なく勝てるだろう。初めからそうしていれば良かったものを。しかしそれでは困ることが彼女には有るのだ、俺にはそれが彼女に取ってどれ程の事か分かっているつもりだ。俺の取る行動は決まっていた。
「いや、その相手は俺が勤めよう」
男二人が不思議そうな顔で声の主を見る。
ラピスは驚いた様な顔で乱入してきた人物を見ていた。
「今さら何しに来たの?ファル」
声の主、つまり俺な訳だが、ラピスと男二人の間に割って入ると周りは微妙な空気になってしまった。少し気まずくなってしまったが今更引き下がるのは余計恥ずかしい。さっさと言うべきことは言っておこう。
俺はクルリとラピスには体を向けると指でピースを作り彼女の目の前に突き付けた。
「二個だ」
「へ?」
俺の言葉にラピスはキョトンと不思議そうな顔をする。確かに今のは俺の言葉が足りなかったな。
「スイーツカルデラの砂糖3割増ケーキ2個を奢ってくれたらコイツらを追い返してやろう。因みにひとり辺り1個の計算だ」
補足的説明も加えるとそれを聞いたラピスは呆れた様にため息を吐いた。
「女の子助けるのに報酬を要求しますか?」
「無償で助けてやれるほど俺もお人好しじゃないんでね」
俺のだめ押しの一言にラピスは両手を肩の上あたりに持っていくとやれやれとかぶりを振った。
「2個じゃなくて1個にまけて頂けないですかね?」
まぁ2個も1個も大して変わらないかな?
「よし。交渉成立だ」
俺は決心して男二人に向き直った。
「そう言うわけで俺の報酬のためにデュエルを申し込むぜ」
俺の口許がニヤリと笑みを浮かべている様な気がしてならなかった。
◆◆◆
場所は変わって同じ町の近くにあった広場でデュエルが行われることとなった。
いつの間にか観客が集まり始めこのデュエルが見せ物に成り始めている。人に見られるのはあまりいい気分はしない。さっさと決着を付
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ