プロローグ――ひねくれ剣士
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別にゲームなのだからそこまで服装に気を使う必要は無いと思うのだが彼女は違うらしい。こんなゲームをやっている奴とは言え女の子ということなのだろうか、良く分からないな。
まぁ服の事などどうでもいい。俺は奴が入ってこないようさっさと扉を閉める事にした。勿論最も早く動作を行うため今回は手動だ。
俺はドアノブに手をかけ、勢いよく閉めようとする。が、何かに遮られそれが叶わなかった。すぐさま足下を見るとドアに彼女のブーツが挟められておりそれ以上は閉じることが出来なくなっていた。
彼女の顔を睨み付けると、そいつの顔はスカイブルーの綺麗な瞳を怪しく輝かせ、不敵に笑って俺の顔を見すえた。
「今日という今日は逃がしゃしないよ」
悪い顔のままドアをこじ開けようとこちらに向かって体重をかけてくる。俺は何か悪い予感がし、あらん限りの力をもってして迎え撃った。しかし、一体その華奢な体のどこから力が出てくるのか。並の男をも上回る力で俺を押し倒すと、そのままの勢いで部屋へと上がり込んできた。
「へへへっ。まだまだだね」
彼女はそう言うと両手を後ろへ持って行き、可愛らしく笑った。見事なほどに倒れこんだ俺はぶつけた後頭部を擦りながら不躾な来客を睨んだ。
「んで?何しに来たの?ラピスさん?」
「遊び行こう!!」
俺が尋ねるとラピスと呼ばれた少女は間髪入れずに答えた。それに対して俺も食って掛かる。
「いや、迷宮の攻略あるから無理だ。まぁ無くても行かないけど」
「相変わらず素直じゃないな、ファルは」
俺の明らかな拒否にラピスは的はずれな事を抜かしてきた。いったい何を言ってるんだこいつは。
「いや、その事と遊び行くことは関係ないだろ」
俺がため息を吐くと彼女は腕を組み「フフフ」と怪しく笑った。
「本当は迷宮攻略がサボれて嬉しいんでしょ?ほら、素直になりなよ」
……何を言っとるんだこいつは。迷宮攻略は現実世界に帰還するための唯一の手がかりだぞ。それをサボりたいだなんて思わないことは無いが……。それでもやらなくてはならない事に変わりはない。今遊んで良いことの理由にはならないだろう。確かに以前は迷宮攻略など俺の仕事ではないと思っていたが今は違う。
「それとこれとは関係ないだろ。第一お前も攻略組なんだからちゃんと迷宮に行けよ」
俺が軽く叱るとラピスは暫し黙考してから勢いよく口を開いた。
「君に拒否権は無い。行くぞ」
彼女は俺の腕を掴むと駆け足で部屋を後にする。こうなったラピスは止まらないだろう。大人な俺は諦めてラピスに従うことに決める。
腕を掴まれ、引っ張られる格好になった俺は転ばないようなんとかバランスを保ちながらなすがままにされていた。
諦め
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