プロローグ――ひねくれ剣士
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にも納得がいった。つまり今いる場所はマイハウスということになる。
こうして、今自分が置かれている状況を整理していると頭に軽い頭痛を覚えていることに気付く。今思うと頭に頭痛って変だな。
どうやら頭痛が痛いと同じようなことを言ってしまうくらいには思考が回っていないようであった。
というのもこの仮想空間において病的な症状は発生しえない。バッドステータスの類いは存在するがそれは病気とはまた違うものである。だから本来頭痛なんてことは起こるはずがないのだ。
まぁ病気は気の持ちようとも言うし俺の心が疲れているだけなのかもしれない。
さて、ここで質問です。人が疲れた時にとる一般的行動は何でしょう?
疲れた人間がとる行動は決まりきっている。ましてや娯楽の類が少ないこの世界においてはなおさらだ。あまり時間を無駄にしたくはないがこうも頭が痛くては動くのも億劫である。
一日くらいサボってもいいよね?と心に言い聞かせ、俺は疲れた人間が取る一般的行動、つまり睡眠。ローマ字にして「SUIMIN」をすることにした。
しかしそれは叶わず。
「ぐっ」
目を閉じると突如頭に轟音が響き始めた。この世界における電話である。おかげで眠気がどっと引いてしまった。
差出人を見て思わずため息が溢れそうになる。俺はそれを何とか抑え、渋々コールを受けとった。
「なんでしょうか?」
俺が元気の無い低い声でしゃべると、電話越しから対照的な調子っぱずれに明るい声が聞こえてきた。
「やっほー。元気してる?調子はどうよー」
「うるさい、何の用だよ」
俺は質問には答えず以前低い声で要件を尋ねた。こいつと長く話していてもいいことなどない、さっさと話を終わらせたいところだ。
しかし俺の思いを知ってか知らずか彼女は更に話を続ける。
「今日ヒマ?」
「ヒマじゃない。じゃあな」
「あっ、ちょ……」
そこまで聞いたところで電話を切った。大した用事でもなかった様だし特に問題は無いはずだ。
まったく、あいつのせいで目が覚めてしまった。顔でも洗ってくるとしよう。
その前に、机の上にある鏡の前に立つ。
短めの茶髪黒のシャツに同色のズボンといつもの町中スタイルの俺が写し出されている。寝起きだからかだろうか、どうにも締まらない顔をしていた。
俺は部屋の外にある洗面所へと向かうべく、ゆっくりとした足取りで出口の扉へと足を運んだ。
扉の前の空間。何もない場所を人差し指でタップすると俺の目の前に画面が現れた。この画面が俺以外の誰からも見ることはできない仕様になっている。強いて見ることができる人物を挙げるならば神様くらいだろう。もっともこの電子世界において
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