出発と契約
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フは
先程まで、話していたヴェルフの顔が頭を過る。
「でも、私達エルフには良い印象はないらしいわ」
「そうなんですか?」
「そうなんだよ。『クロッゾの魔剣』で、同胞の里や森が焼かれたとも聞くしね。恨んでいるのもいるんじゃないかな」
ま、僕らは違うんだけど、と付け足したエイモンドさん。
なんでも、王国に仕えていたクロッゾ一族は、魔剣を作ることで地位を得たとか。
王国も『クロッゾの魔剣』を兵士に所持させ、圧倒的な火力をもつ軍で他国を攻めたとか。
そのお陰で、連戦連勝の不敗神話だったようだ。
「ま、用はそんなけすげえもんが打てる一族ってことだよ。で? スウィードも作ってもらうのか?」
ヒルさんのその言葉に皆の視線が俺に集まる。
「確かに興味はあるんですけど……俺はあんまりですかね」
「そうなの?」
「はい。なんか、魔剣使っても、それは俺の力じゃないような……流石に四の五の言ってられない場合には使いたいとは思うんですけどね」
それに……と俺は付け足す。
「俺の憧れは、もっとすごいと思ってますから」
「「「「「「「ああ、なるほど」」」」」」っす」
あの人、魔法も使ってないのに魔法みたいなことしちゃうからなぁ……
それに、ヴェルフが魔剣を打てるなら、今頃もっと有名になっているはずだ。
でもそうじゃないってことは、何かあるのだろう。
とにかく、俺はそこまで魔剣を求めているわけではないのだ。できれば、式さんみたいになりたいと思っている。
今はこの場にいない憧れに思いを馳せ、俺はグッと拳を作った。
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