不透明な光 2
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美しい光沢を放つ、五枚の貝殻。
可愛い双子の兄妹が腕や体を傷だらけにしてまで探し集めた贈り物。
双子の母親が丁寧に加工してくれた、世界に二つと無いペンダント。
レネージュの幸せを祈ってくれた、大切な宝物だ。
レネージュは首を横に振った。
「いや……っ これだけは……嫌!」
状況はよく分からないが、グリークはこのペンダントを嫌がっている。
ペンダントが、レネージュを護ってくれている。
不思議とそう感じた。
「チッ 小娘が……!」
「……っ!!」
苛立った様子のグリークが、煙を上げ続ける右手でペンダントを鷲掴み、強引に引き千切った。
レネージュの首筋に赤い線が滲む。
双子の気持ちを。
彼らの母親の思いを。
グリークは、ゴミを棄てるようにベッドの外へ放り投げる。
その直後、バキッ! と、貝殻が割れる音がした。
「……っなにを……、なにをするのよ、グリーク! 大切な物なのに!!」
額から汗を垂らしつつ、苦悶の表情で自身の右手を見ていたグリークは。
レネージュの怒りを受けて、心から嬉しそうに、にっこりと微笑んだ。
「お前が苦しむ様は本当に心洗われるな、レネージュ。もっともっと苦痛に嘆いて、俺を癒してくれよ」
「い……っ! あっ!?」
赤く焼けただれた右手が、レネージュの無垢を護るショーツを引き裂き。
無理矢理持ち上げた左脚を自身の右肩に掛け。
大きく開かせた股の間に自らの腰を押し付けた。
弛んだローブの隙間から、熱くて硬いものが、秘部に直接触れている。
レネージュの全身が恐怖で震え、硬直した。
「や、やだ……」
歯をカチカチ鳴らして怯える彼女の目元に、触れるだけの口付けをして。
グリークは腰を進めた。
「永遠の闇に、堕ちろ」
「いやあ……っ つ!!」
濡れてない。解されてすらいない。
一度も異物を挿れた経験がない、その場所に。
グリークが強引に突き刺さる。
裂かれた激痛と容赦ない圧迫感で、喉を引き攣らせ。
真っ黒に染まった思考の中で、レネージュは黒い人の言葉を思い出した。
『うっかり殺されても俺を恨むなよ』
今になって実感するのは遅いのだろう。
こんなのは、夫婦の営みでもなんでもない。
明らかに性暴力でありながら、それとも何かが違う。
押し付けられているのに、吸い上げられているような錯覚がする。
稲妻のような緊張感と同時に、倦怠感が全身を駆け巡る。
レネージュは、グリークを名乗るこの男に、『喰われている』。
『喰われて』、そして、殺される。
何故。
何故、こんなことになったのか。
どうして殺されなきゃいけないのか。
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