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ダンジョンに復讐を求めるの間違っているだろうか
怪物祭 (上)
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めじゃあ!それで汝が死ねば、妾は妾を許せんっ!」

 テュールはついに大粒の涙を流しながら無謀な戦地に向かう子供を止める母親のように留まるよう懇願する。

 「それならテュールと別れることになれば、俺は俺を許せない。それに、俺は死なない。テュールのためなら俺は必ず生き残る!」

 デイドラは力強く言った。

 「だから、先に行ってくれ。そして、駆け付けた冒険者に助けを求めて。お願いだ…………俺にまた家族を失わせないでくれ」

 そして、語調を弱くして続けた。

 「……………………わかった。その代わり、もし戻って来なかったら許さん…………妾自身も汝も許さんからな」

 テュールは涙を堪えるように歯を噛み締めてから、搾り出すように言った。

 「わかってる」

 それにデイドラは語気に確固たる意志を秘めさせ答えて、歩き出す。
 既に一〇Mあったトロールとの距離は五Mに縮まっていた。

 「…………デイドラ、これを渡す」

 トロールに向かって歩きだそうとするデイドラを止めて、テュールは背負っていたワンピース同様にぼろぼろの背嚢を下ろすと、中身を取り出した。

 「短刀…………」
 「ただの短刀じゃないが、それは汝が帰ってきたときに死ぬほどこの短刀がどれほど凄い業物か教えてやる」

 怪狼の牙を素材に椿が打ったオラリオの中でも並び立つ業物は数えるしかないほどの短刀を四振りをデイドラの前に並べる。
 四振りとも銀の鞘に納められていたが、隙間から隠しきれない青黒い障気が噴き出ていた。

 「デイドラ早く背を見せろ。すぐに済まさねばならぬ」
 「わかった」

 こちらに突き進むトロールを見遣ったテュールの意図を汲み、デイドラは上衣を脱ぎ捨て、テュールに背を向ける。
 テュールはすぐさま親指を歯で噛み、神血を滴らせると、その血で全ての短刀に矢印、否テュールを象徴するルーン文字を刻むと、続けてデイドラの背に同じように神血でルーン文字を描く。
 これはステイタスの更新ではない。
 その証にデイドラのステイタスは浮かび上がらず、代わりに五つのルーン文字が光を放ち、デイドラの背から四条の白熱するように白く輝く半透明の鎖が生え、デイドラの腕にとぐろを巻くように巻き付き、そのまま四振りの短刀に絡み付き、やがて姿を消した。

 「終わったぞ。これで、汝からこの短刀は離れぬようになった。手放したとしても、汝が念ずれば、汝の手元に戻る。この訳も帰ったときに教える」
 「わかった」

 勿論デイドラは短刀がどんなものか、何故手元に戻るのか訳を知りたかったが、好奇心を打ち捨てて、答える。

 「嫌じゃろうが、妾の(眷族)を頼むぞ」

 テュールは意地の悪い笑みを浮かべて短刀に語りかけながらデイドラ
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