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ダンジョンに復讐を求めるの間違っているだろうか
怪物祭 (上)
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りではなく真のことであると告げているような気がしたのだ。

 「二人とも、先に行っていてくれ」

 デイドラは滑らせるようにして、苦もなく拘束から抜け出した。

 「えっ!」
 「デイドラっ!」

 そして、二人の声を背後に置いていく速度で、人込みを掻き分け、告げられた場所に向かって走った。


     ◆


 「くそっ!」

 デイドラは全力で走りながら、吐き捨てるように言った。
 場所は人気のない狭い路地裏。
 テュールを抱えているとは言え、トロールとの距離を全く突き放せない。
 怒りで燗燗と目をぎらつかせ、口からは鼻が曲がりそうな程に臭い唾液とともに蒸気機関と思うような白い吐息を吐いていた。
 トロールには僅かな理性も残っていないと窺えた。
 それを表すように進路を阻むものなど目に見えていないように、その巨躯で弾き飛ばして破壊している。
 にも拘わらず、デイドラはトロールとの距離を広げられていなかった。

 「ここを右だ、デイドラっ」

 抱えているテュールに従って、より一層狭まった路地裏に進路と直角に跳び込む。

 『ガァアアアアアッ!』

 それに応じてトロールは巨躯を急停止させて同じく狭まった路地に入ろうとする。
 しかし、勢いが足りず、両肩を角に()り込ませるだけだった。
 路地裏は極端に細くてトロールの巨躯では到底通れる幅ではなく、現に通路はトロールの頭部が入るか入らないかという程だ。
 体を横にすれば、もしかすれば入れただろうが、理性を失ったトロールがそんな考えに及ぶはずもなく、ただ両肩をより深く減り込ませて進もうとするトロールの速度は僅かなものだった。

 「よし、逃げられるぞ、デイドラっ!」

 それを見てテュールが喜びを表すように、両手を突き上げる。

 「まだだ」

 しかし、トロールから一〇M離れたところでデイドラはそのテュールをゆっくり降ろし、振り返る。

 「ど、どういうことじゃっ!まさか、あれと戦うつもりか」
 「うん、そのつもり」

 デイドラは防具も武器も持たず、平然と言う。

 「だめじゃっ。デイドラっ」

 テュールは縋り付くようにして、デイドラを止めようとするが、それを拒絶するようにデイドラは今なお壁を破壊しながら少しずつ近づいてくるトロールに一歩踏み出す。

 「ここで、逃げてももしかしたら追いつかれるかもしれない。だけど、ここで俺が気を引けば、少なくともテュールだけでも安全に逃げ切れる。きっともう周りには強い冒険者もいる」

 そして、冷静な声で(ささやく)くように言う。

 「じゃが、汝ではあれには敵わぬっ!」
 「わかってる。だから時間稼ぎしかしないつもりだ」
 「だめじゃあっ、だ
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