第二十一話
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は無くなる。即ち、槍の敗北に直結する。
ゆえに、超高速で槍の間合いギリギリを旋回し続け翻弄し隙をこじ開ければ良い。
だが、そうは問屋は卸さない。
追いつかれる。最短、最小の動きで以って、私の速度に追いついてくる。細かく入れる牽制には目もくれず、本命の踏み込みだけ的確に拾い上げて反応してくる。
レイナ本人は私を目で追うことは無い。だけど、背後に目が付いているのかと思うほど的確に反応して、槍を向けてくる。
次はこれだ。
正面突破。細剣の利点は小回りが利くことだ。今回はその鞘だけど概ね当てはまる。対して槍は間合いを武器にするゆえ大振りな動作になりがちだ。突きは最小の動きで放てる強みだけど、放った後もう一度腕を引かなくてはならないため連続で放つことが出来ない。だったらその弱みに付け込む他ない。
しかし、破れない。
私が放った一閃に対し、レイナも一閃で迎え撃つ。鋭い擦過音が迸り、互いの目標がずれる。ここから私は一気に加速して切り返す。が、レイナは呆気なく槍を引き戻して対応する。
一、二、三。数が重なるごとに私が有利になるはずが、どれほど重ねても平行線を辿る一方。速度を引き上げてもレイナは淡々と槍を捌いて私の攻撃の悉くを叩き落す。
時に薙ぎ、時に突き、時に叩き。随所随所に最善手を選択して、正確に実行する。それを可能にするように足を運び、腕を動かし、体を使っている。私たちでも当たり前のようにやっているその節々が、レイナの場合洗練されすぎているせいで見切れない境地になっているのだ。
絶対的な間合いの管理能力。一見初心者の振るう槍の裏には、緻密に積み上げられた理論が犇めき合っていた。仮にも深層の迷宮の弧王を単独で撃破できるくらいの技量を持つ私ですら破れない、絶対領域を築き上げている。
遠い。煌く銀槍が捉える射程範囲と間合いのせいで、レイナとの距離があまりに遠くに感じる。
冒険者になった時から才能があると言われてきた私は、鍛錬を怠った覚えは全く無い。確かに最初あたりはいじけたり拗ねたりしたときもあったけど、今に至るまでの鍛錬の量を見れば誤差に等しい。
でも、それを加味しても、レイナの間合いを破れる気がしなかった。下手しなくともフィンを超える槍の使い手である。
私が感じた予感は間違っていなかった。私はLv.6程度で止まっていられない。従来のようなままではだめだ。革新的な、それも今までの自分を一変させてしまうような、そんな変化が、力が、必要なのだから。
気づけば額に汗が染み出していた。肩甲骨に張り付くインナーや、僅かに息が上がり上下が忙しなくなった肩。Lv.6によって強化されているはずの身体が軋み始めていた。
大してレイナも激しく呼吸を繰
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