第壱章
七……血ノ色魔ノ色生ノ色
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場は騒然となった。騒ぎの中、「あれが妖刀の化身だ」という恐れる声も聞こえた。
黙れ、と秀吉の一声。一瞬で静まり返った。
秀吉は村正の前に立ち、見下ろす。
「それは、我に死ねと申しておるのか?」
「そうじゃないんです。血を一滴抜いた所で、命には何の影響もありませんから。事実、私が過去に血を頂いた猿飛佐助も、今では何の問題もなく活動している様ですし」
「何故我でなくてはならない?」
「貴方様の生は覇気に満ち、とても甘美な香りを放っていたからですよ!」
村正は半ば興奮しながら語る。村正の紫色の髪が揺れた。
秀吉の答えは。
「……良いだろう」
その瞬間、村正は赤い目を宝石の様に輝かせた。
秀吉の肩に乗り、首に少しだけ刃を入れる。その時。
「秀吉様……!? 貴様ァ!!」
「三成君、落ち着きたまえ!」
銀の髪の青年が、村正に斬りかかろうとした。村正は秀吉の首から滲む血を指でひと掬いし、ペロリと舐めてからその刃を素手で受け止めた。
「なっ……!!」
「悪いけど、君の血は美味しくなさそうだね。少なそうだし」
近くの木に飛び乗り、ニコリと笑って軽く手を振る。
「秀吉さんの血、美味しかったですよー! 宜しければまた味あわせて下さいねー!」
右手を胸にあて、軽くお辞儀をする。そして、何処へともなく去って行った。
それを見て、誰かが呟いた。
「信長公以来の魔の者だ」と…………
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