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ロザリオとバンパイア〜Another story〜
第36話 決着 引力と斥力
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 《闇の力》 それは、自分自身の力の中でも1,2を争う程に危険な力だ。

 闇、その力の真骨頂は 全てを引きずり込む《無限の引力》にある。そして、引きずり込むものは、物理的なものだけではない。己の妖気、凡ゆる力をも その闇に引きずり込むことができる。だが……、その闇は見境がない。限度を見誤れば、自分の身体をも引きずりこまれてしまうのだ。

 以前は、体が闇に引きずり込まれ……約2世紀の間異次元の狭間を彷徨ってしまったのだから。

(……前回は、あの怪物の《妖力》のすべてを引きずり込んだから……、多分限度を超えてしまったんだったな。今回は問題ない。何より 闇は闇でも……)

 ジャックは、両の手から黒い靄のようなものを出しつつ、構えた。


 そして、海を呼び寄せている神無木も、再び構えた。


「……最大級の津波、全力の天海滅界(ヴァルナー)を食らわしてやる! あの《守りの歌》程度ので、防ぎきれるレベルじゃないぞ。まとめて食らえ!!」

 言葉通りだ。背後に広がっている海の全てがまるで持ち上がっているかの様な、そんな気配がするのだ。人から見れば、現実感があまりに無い光景だろう。
 例えるなら、某映画でありそうな津波。隕石が直撃した事で、発生した全てを飲み込む津波。それを軽く超える様な津波。つまり、放置すればこの山はおろか、数km先にある人間の街も軽く飲み込みかねない規模のものだ。


”ゴゴゴゴゴゴ………”

 海だと言うのに、地鳴りが鳴り響く



「愚道の水よ……我が命に従え…。全てを飲み込み、全てを無に帰せ! 天海滅界(ヴァルナー)!!」



 解き放たれた極大津波。これなら、人間の街等、砂で出来た街も同然。簡単に洗い流されてしまう。

 だが……、この男の誤算はたった1つだけだった。

《敵に回した相手を間違えたという事》


『……むぅ!!』

 ジャックは、両の手で発生させた闇を、今度は両方の手を合掌さ、圧縮した。その後、ゆっくり、ゆっくりと手を開く。丁度、拳大程の空間を手の間に作る程度、開いた所で、それ(・・)は 顕になった。


『全てを飲み込む。無限の引力………。超重力(ブラック・ホール)!』

“ヴゥン!”

 その手と手の間に生まれたのは、その空間の大きさとほぼ同等の大きさの《黒球》だった。《黒》と言うよりは《闇》と言う言葉が当てはまると思える程の、何かを孕んだボールだ。


 ジャックは、それを海に…あの天海滅界(ヴァルナー)と呼ばれる津波に向かって放ったのだ。



「ッは! なんだ? それは。 そんなものでこれを防げるとでも…………ッ!!! んがっあ!!」


 余裕の表情、嘲笑する顔さえ浮かんでいた神
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