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ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第120話 朱い空の下で
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くれ……」
リュウキは必死に抱きしめる。
レイナの振るえを止めてあげたくて。彼女は笑顔が一番素敵で、そして好きだったから。だから、ずっと……その笑顔でこれからも生きていて欲しい。自分に縛られる事なく、幸せに。
リュウキはそう願ったのだ。
だけど……、レイナは首を左右に強く、大きく振った
「い……いやだ……。いやだ……っ! わ、わたし……っ わたしっ……っ、リュウキ……くんと離れたくない……。いやだよぉぉ……」
ぎゅっ……とレイナはリュウキにしがみ付いた。
この温もりが後少しで無くなるなんて、考えたくなかった。
「リュウキくんがいなくなったら……わたし……笑えないっ……えがおでいられない…………わたし 生きてる意味が……ないっ……」
ぽろぽろ……と その涙の量は留まる事無く増した。
枯れることなく、流れ続ける。そして、床に流れ落ちた所で、青い硝子片となり……まるで空中に浮遊している結晶の様に辺りに漂った。
リュウキは……抱きしめながら、レイナの背中を摩り……キリトとアスナを見た。
「……キリト、アスナ。レイナを……頼む。支えてあげてくれるよな……? オレがここまで……この場所にまで頑張れたのは、彼女の……、《レイナ》のおかげなんだ。 これからも……ずっと、頼むよ……。それが、最後の願いだ。もうそれ以上は何も要らない。……望まないから……」
レイナとは対照的にリュウキは、穏やかな表情をしていた。
――……全てやりきった。……もう思い残す事は無い。
そう、言わんばかりに。
その2人を見てアスナは、目に涙を浮かべていた。レイナの、妹の悲しみが手に取るようにわかるから。
アスナの立場だったら……。自分ががレイナと同じ境遇だったら、あの時考えたのと同じだ。自殺を考える……。絶対に……。
レイナが言うように生きている意味なんて無いって思ってしまう。
大切な妹が傍にいてくれても……悲しみが癒えるなんて想像が出来ないから。何年たっても……消えた温もりが忘れられないんだ……。だから……、今 レイナにかける言葉もリュウキにかける言葉も、出てこなかった。
何を言えば良いのか、どう言えばいいのか、わからないからだ。どんな言葉をかけても、無理だって思えたから。
そんな時だ、ゆっくりとキリトがリュウキの傍にまで来たのは。
「キリト……?」
キリトのその身体は、僅かに震えていた。
そして震える身体を抑えつけるように力を入れると手を振り上げた。振り上げた手はリュウキの頬に目掛け正確に振り下ろされた。
バチンっ!、と 燃えるような赤い空の下、乾いた音があたりに響き渡った。
リュウキは、レイナを抱きしめている
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