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ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第120話 朱い空の下で
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匂いがある。
鼻腔に流れ込んでくる空気には大量の情報が含まれている。それはあの世界ではこれ程までには感じられなかった程の情報の量。
鼻を刺すような消毒薬の匂い。乾いた布の日向くさい匂い。果物の甘い匂い。そして、自分自身の匂い。
それを感じたその時……。ゆっくりと目を開けた。その途端に、脳の奥にまで突き刺すかのような強烈な白い光を感じ、慌てて目をぎゅっと閉じる。それは、まるで、目を一度も使ったことが無いかのような感じだ。そして、恐る恐るもう一度、目を開けてみる。
その世界は様々な色の光の乱舞。
そして其れを感じた途端に瞼に大量の液体が溜まっているのに気がついた。どうやら自分は泣いている……泣いているのだろうと気づいた。
――……だが、何故だろうか?
激しく深い喪失の余韻だけが胸の奥に切ない痛みとなって残っている。耳に、叫び声が残っている。それらは複数の声であり、叫び……として残っている。
―――……気のせいじゃない。
そして、あたりを見渡す。体は……まだ、言う事を聞かない、自分の身体じゃないと思える程に。だから、目を左右に振る。
まだ、強すぎる光にあたりを直視する事は難しいが、細めて辛うじて見ることが出来ていた。天井、そしてオフホワイトの光沢のあるパネルが格子状に並んでおりその内のいくつかは奥に高原があるらしく柔らかく発光していた。
そして、見覚えのある機械が目に入る。
それは空気を吐き出しており、低い唸りも上げている。
―――……空調装置?つまり……ここは……。
ある一つの結論に達した。
そう……機械など、あの世界にそんなものあるわけもなく、作れるはずも無いのだ。どんな鍛冶スキルの達人であったとしても。だから……あれが本物であるのなら……。
―――ここは、アインクラッドじゃない。
その瞬間、完全に目を見開いた。
そう結論づいて、漸く意識が覚醒したのだ。だが、意識は覚醒しても体は言う事を聞かない。全く全身に力が入らないのだ。だけど、その内に右手だけは何とか動かす事ができた。
利き腕だったから……なのかもしれない。だが、その右腕も見る影も無いほどやせ細っている。
自分自身の体だとは思えないほどに……。
その腕にはやせ細っているせいか、血管が青みがかかったわかりやすく浮き上がり見えており、関節には小さな皺が寄っている。
それは、恐ろしいほどにリアルな光景だった。
先ほどの機械同様、あの世界じゃ絶対に無理なもの。再現しきれないであろう光景。生物的過ぎて違和感が感じられるほどのもの。そして、その右腕を……ゆっくりと指を出し、振ってみる。
……だが、思った通りウインドウは現れなかった。間違いな
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