2部分:第二章
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反応を示してきた。そのうえで問うてきた。
「何か特徴があるのですか?」
「全て夜なのです」
ロスアンヘルスはまた述べる。
「少女達が消えたのは」
「夜、ですか」
沙耶香はそれを聞いてさらに思案に入った。その目には夜の世界が見えているようであった。
「そうです、夜に」
「そこですね」
沙耶香も速水もそれを聞いて述べてきた。二人は同じ言葉を出してきていた。
「問題があるのは」
「そうですか、やはり」
「そう、夜ですね」
夜という言葉を語る沙耶香の目が妖艶に細まってきた。まるで夜そのものを待ち望んでいてその到来を楽しんでいるかのようであった。
「夜なのですよ。本当の時間は」
「本当の時間!?」
「そうです。夜こそが世界の真の姿」
彼女は言う。
「美も妖もそこにあるのです」
「スペインの夜は長いと言われていますが」
「ええ」
その言葉に妖艶に笑ったまま頷く。目はその夜を見て楽しんでいた。
「そうですね。ならばお任せ下さい」
彼女は言う。
「この仕事。喜んで引き受けさせて頂きます」
「有り難うございます」
ロスアンヘルスは綺麗なスペイン語で返した。当然ながら沙耶香も速水もスペイン語で話をしている。それは流暢で整ったスペイン語であった。二人はまるで日本語を操るように話をしたのであった。
「では貴方は」
「私はですね」
速水はいささか真面目な態度でロスアンヘルスに応える。
「依頼された仕事は来る前にカードに教えてもらうのです」
「カードに」
「ええ。そしてその仕事を受けるかどうか決めます。受ける時は」
「その時は」
「既に来ています」
そう述べてきた。
「ですから今は」
「受けて頂けるのですね」
「そういうことです」
こくりと頷いて答えてきた。
「それではセニョリータ=ロスアンヘルス」
「はい」
彼のセニョリータという言葉に目を細めさせて応える。
「今後共宜しくお願いします」
「わかりました。それでは」
それに頷いてからボーイを呼び止めてきた。それでまた注文する。
「ワインをどうぞ。私の奢りです」
「あら、気前がいいですね」
沙耶香はその言葉に今度は口元に笑みを浮かべさせてきた。まんざらではないといった顔であった。
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