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ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第118話 愛してくれて ありがとう
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もしなかった。
剣の世界で、魔法の様なものが。
デスゲームにおいて、《生き返り》や《二度の生》などと言うスキル。
そんな、アンフェアと言っていい
代物
(
スキル
)
があるとは思いもしなかったんだ。
以前のクリスマスでの《イベントアイテム》と言う例外は除いておいたとしても。
「君も同じじゃあないか。君にしか知らぬスキル、武器をこの世界で創造したのだから……。……が、そうであっても私は卑怯な手などは使わないさ。勿論システム上のスキルのもの。聖なる神の剣だ。それくらいのスキルはあるのだよ。だが、それも、たった一度しか使えないスキルだがね。それに……言っただろう? リュウキ君。守れないものもあるのだ。……諦めたまえ。だが、大丈夫なんじゃないか」
ヒースクリフは、今だ、混乱で思考がまとまっていないメンバーの方を見る。その中で……キリトだけが。驚愕の表情はしていたが、彼だけが。はっきり現実を見ていた。
「そこにいるキリト君ならば、100層……私のところにまでこられるだろう。前にも言ったが、本来そのリュウキ君のスキル以外の≪二刀流≫は最も反応速度が優れているプレイヤーに与えられるスキル。私が考えていた勇者となれるものが持つことが出来るものなのだ。反応速度においては、リュウキ君を凌駕するキリト君。……彼ならば君亡き後、やっていけるだろう。そして、彼らも、私が育ててきた血盟騎士団も90層クラスのモンスターにも簡単に負けないように育ててきたつもりだと言う事に嘘偽りは無い」
ヒースクリフは、薄ら笑みを浮かべ、リュウキから剣を引き抜いた。
「がっ……はっ………」
リュウキは……デジタル世界なのだが、鈍い痛みが走るのがわかる。身体の内側から、まるで焼かれているかの様な感覚も同時に起こる。息をする事さえ、苦しい。
そして、訪れるものも……理解できる。
視界の左端に存在する命の数字が、……それが確実に下がっていっているのが判るから。
それは、本当にゆっくりだった。ゆっくり、ゆっくりと……。時間が凝縮されている事に気づく。
それは、まるで 死の直前に見るという……走馬灯の様に。
「……ごめん、な………。」
リュウキは、辛うじて身体を動かし、ヒースクリフを視ずに、レイナの方へ。……レイナの目を見つめて、そう呟いた。
もう自分に、残された時間は少ない。……限られた時間。その時間で自分に何が出来るのか、何も出来ないかもしれない。 だけど、何をすればいいのか、後少ない時間で、何をすればいいのか。……それには、考えたらこれしかなかった。
その何よりも大切な時間を……ヒースクリフになんか、使えない。全ては……愛する人に遺したかった。
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