暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第118話 愛してくれて ありがとう
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笑っていた。
 現実感がない、だけど それだけの事をしたんだから。

「ねぇ? リュウキ君。」
「ん?」

 リュウキは彼女の体を抱き起こしていた。

「これで……帰れるんだね……? 現実に」

 レイナは涙を浮かべながら改めてリュウキに聞いた。この75層BOSS攻略の前に。ゲームクリアに関わらず存在するタイムリミットの話をして。

 本当に辛かった。
 自分で言ったのに……とても、怖かった。

 死んでしまうこと……そのことじゃない。リュウキ君と会えなくなるかもしれないと言う事。
 それが何よりも悲しかった。死よりも……ずっと怖い事だった。

「……ああ、そうだな……ッ!」

 最後まで言い終えたその時、リュウキはレイナを抱きしめる力が緩まり……、そして膝をついた。

「リュウキ君っ!」

 突然の事で、レイナは驚き目を見開く。

「あ……ああ、大丈夫……だ。ちょっと無理をしたから……な」

 リュウキは、そう言うと同時に、その手に持っていた双斬剣を。……武器を落とした。無理もない事だろう。

 ヒースクリフが言ったように、システムに頼らない独自の攻撃手段を用いた。

 それだけならまだしも、オリジナルのスキルをも使った。
 全て自身の力でだ。システムアシストを全く使わずに制御したんだ。出来るかどうか判らなかった。正直 まだ、実践で使うには早すぎた事は否めなかった。

 あの骸百足との一戦では、これまでにない程までに消耗したのだから。

 レイナが推測していたリュウキの言葉に隠されていた《はやい》と言う言葉。レイナの推測は正しかったのだ。

 その力の代償。それが今、彼の全身を襲っているだろう。

 極度の疲労感が。そして、頭が割れそうになる程の激痛が。

「し……しっかり! ……ッ! もう、なんで体、動かないのっ!」

 レイナは、半狂乱になりかねなかった。
 目の前でリュウキが苦しそうにしているのに、手を差し伸べる事も抱きしめる事もできないのだ。一番支えなきゃいけないときなのに、手の1つも伸ばせない。

「大丈夫……大丈夫だ、レイナ……」

 リュウキは、しきりにそう言う。
 どう見ても大丈夫に見えないないんだけど、それでも、強がりでもなんでも使ってレイナを安心させたかったんだ。

「っ……一体、いつになったら、麻痺が解けるんだよ……!」

 キリトは、地に這った状態でそう呟く。
 確かにリュウキも心配だが、HPが減らない以上は、最悪な状態にはならないだろう。

 彼の命は保障されているんだから。

 だが、ヒースクリフが、茅場が負けた以上、もう ログアウトしてもいいはずなんだが……、一向に起きる気配もない。そう考えていたその時った。
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