24.つまり私の使命とは
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になってしまう」
「確かに。反結晶派の神なら絶対欲しがる……あるいは破壊したがるかも」
「国も黙ってないよ。クリスタルの近くにある国はその属性の加護を大きく受けるって聞いたことがある。それをもしも全部手に入れられるんなら……誰だってもっといい生活を求める筈さ」
アイズとティズも、それは容易に想像できた。そしてその結果が悲惨な奪い合いに発展するであろうことも。だが、そんな中でアニエスがぽつりと呟いた。
「………そういうものなんですか?」
「へ?」
「え?」
「あ、あの……すみません。神殿から外にはほとんど出たことがなくて、国や神の動向についてはあまり知らなくて……」
恥ずかしそうに顔を逸らしながら尻すぼみな声で告げたアニエス。
一番真面目そうな彼女がまさか話について行けていないとは……なんとも気まずい沈黙が流れる。
そういえば、とアイズは思い出す。
巫女は清貧を貴び、一日中神殿に籠って祈りを奉げるのが日課だそうだ。
つまり、外――つまり世俗との繋がりは殆ど無い。さすれば必然、社会情勢に疎くもなるだろう。アニエスの事を友達として支えたいと思ったアイズだったが、かくいうアイズもそこまで博識な方ではない。
「アニエス」
「なんですか、アイズ?」
「……一緒に勉強しよう?」
「………お、お願いします」
その文脈だとアイズがアニエスの勉強に付き合う流れになっているが、アイズはリヴィエア辺りに頼む気満々である。噛みあってるんだかないんだかよく分からない二人であるが、仲良き事は美しきかな。同じ世間知らず同士、波長の合う部分があるのだろう。
「えっと……話を戻すわよ。ノルエンデを呑み込んだあの大穴なんだけど、あれはこの世界の法則に穴を空ける異物なの。つまりクリスタルの力とは対を為す邪悪な物!アニエスの話だともう神殿への襲撃があったんだよね?それもきっと大穴の影響なの。簡単に言えば、魔物の襲撃でクリスタルを弱めて世界の法則に綻びを作り、そこを大穴が貫いた!……ってこと」
「……ねぇ、エアリー。その言い方だと『誰かがこの大穴を意図的に空けた』ように聞こえるんだけど」
「え……そ、そうかしら?あの大穴から凄く嫌な感じがしたからそんな風に言っただけなんだけど……」
「それよりも、です!」
ずいっとアニエスが話に割って入る。
「原因はともかく、対処法です!一刻も早く大穴を塞がなければ他の神殿でも悲劇が繰り返されるかもしれないのです……教えてください、エアリー!」
「そ、そうだよ!エアリー、僕はまだオラリオに世界を救う手がかりがあるって事しか聞いてないよ!?」
家族同然の修道女たちを失ったアニエスと故郷を丸ごと失ったティズの二人は、異様な迫力でエアリーに迫る。百戦錬磨の冒険者である
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