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鐘を鳴らす者が二人いるのは間違っているだろうか
24.つまり私の使命とは
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「暇な時で良ければあたしたちも手伝うよ!」
「道は長いが踏ん張れよ、ティズ!がっはっはっはっ!!」

 普段はこの手の事に興味がなさそうなファミリアのメンバーも、ティズのことを後押しした。
 全てを失った少年の門出を、少しでも応援してあげたいのだろう。

 あの災厄を奇跡的に生き残り、目が覚めるなり驚くべき行動力を発揮し、その翌日には王国の役人と化していたティズ。しかし、その心の傷はまだ深く刻まれたままだ。逆に行動していないと犠牲になった人々の事を思い出してしまうのかもしれない。
 それでも、前へ。喪ったものを取り戻すように、前へ。
 そんなひたむきな姿勢こそが彼の強さなのかもしれない。



 ロキ・ファミリアはその日、カルディスラ王国からオラリオへの帰路についた。
 魔物撃退のノウハウなども可能な限り伝授したため暫くは魔物に対応できるだろうが、危機が訪れたら本格的に他国への救援を考えるそうだ。
 問題は根本的に解決していないが、あくまで一ファミリアに過ぎない彼等がずっと守っていくのは無理だ。業者の馬車から身近い付き合いだった城下町が次第に遠ざかっていく。

 これから暫くこの地には戻れない。
 知らない人だらけの街で、家族とも故郷とも離れて。
 決して一人ではない。それは分かってるけど――

「さよなら、カルディスラ……いつか僕の夢が果たせたら、また戻ってくるから……」

 自分の膝を抱いたティズは、小さく呟いた。



 = =



 その日の、夜。

 ティズとエアリー……とティズのことを若干恨めしそうに睨むアニエスと、エアリーを頭の上に乗せてご満悦そうなアイズは、他のファミリアが寝静まったことを確認して静かな会合を始めた。
 ロキには特にエアリーの事を知らせる訳にはいかなかったので念入りに確認したが、アイズ曰く腹を出してぐーすか鼾をかいていたとのこと。ちょっぴり神様のイメージが崩れたティズだった。

 議題は言わずもがな、「世界を救う方法」である。
 最初に口を開いたのは、言い出しっぺのエアリーだった。

「えっと……まず、アニエスはティズを睨むのやめようね?」
「うっ………わ、わかりました」

 巫女をそっちのけで話を進めることなど許せない!と言わんばかりのアニエスは元々この話に参加する気満々で、エアリーも「知る権利があると思う」と同席を許した。が、未だに自分を差し置いて精霊に認められたティズの事に納得しきれていないらしい。

「それとアイズ?エアリー、本当にアイズの頭の上にいていいの?」
「昔読んだ物語で、主人公と妖精がこんなふうにしてたの」

 どうやらそれに憧れていただけらしい。余程ご満悦なのかそのゆるみきった顔は実年齢より数歳幼く見えるほど
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