24.つまり私の使命とは
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その日、運命を変える出会いを果たしたティズは後からやってきたロキ・ファミリアの面々に非常に丁重に連行された。自覚は無かったが、なんと1週間も寝込んでいたらしい。
重篤患者の癖に魔物と喧嘩して崩落現場に向かうなんて何考えてるんだ!と周囲にものすごく怒られたが、同時にとても心配されていたらしい。ついでに先走ったアニエスとアイズ(彼女の名前はそこで知った)も叱られていた。
エアリーはティズの道具ポーチの中に隠れてしまった。何でもクリスタルの精霊の存在が神に知れれば大変な事態に陥る可能性があるそうだ。自身の存在自体を黙っていて欲しいと頼まれたティズは、素直に頷いた。正教と神の仲の悪さは噂に聞いていたのでその点は心得ている。
とはいえ、もし万が一神の質問の過程でエアリー関連のことに触れられると、嘘や隠し事は看破されてしまう。流石に人生初めて出会う神のロキと出くわしたときは隠しきれないかと不安になったが、幸いにもロキはそんなことより自分の身を案じてくれた。
「無理したらあかんで、ティズ・オーリア………顔は平気そうにしとるし心も今は落ち着いとるけど、それだけで癒えるほど心の傷は単純やあらへん。それはなんとなく分かるやろ?その身体も少しいたわりぃや」
「はい……神様」
「………キミの家族たちの魂は、天上の神がしっかり導いてくれる。せやから、キミはキミの生き方をするんや。死者の声は地上までは届かんけど、少なくともウチらロキ・ファミリアはキミが生き残ってくれたことに感謝しとる」
生きててくれてありがとう、とロキは言った。
そして、ひとりしか助けることが出来なくてすまなかった、と。
自分を知る者が誰も居なくなったこの世界で、見ず知らずの自分の身を案じてくれる存在がいる――そう考えると、抑えた筈の涙がまた零れ出た。
その後、カルディスラ王との謁見やこれからの事を話す機会があった。
王はティズを憐れみ住む場所を用意してくれると言ってくれたが、もうエアリーと話し合って今後の方針を決めていたので断らせてもらった。怒られるかな、とも思ったが、王は逆にティズの夢を後押ししてくれると約束してくれた。
「そこまでしていただけるなんて……僕、なんとお礼を言っていいか……」
「よいのじゃ。我等は結局お主以外は誰も助けることが出来なかった……なれば、残った希望に手を貸すくらいのことは王としてやらせてくれ」
為政者として、自らの統治する土地の民を助けられなかったことへの後悔あったのだろう。
王が悪いわけじゃない。全てはあの大穴がやったことだ。
「……ありがとうございます!僕、どんなに時間がかかっても必ずやり遂げてみせます!――ノルエンデ村の復興を!!」
ティズに出来た二つの目的。
一つはエアリーと共に大穴
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