閑話―猪々子― 上
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た。主の判断として失格である……すまない」
「そんな!? 謝るのはアタイであって――」
「なれば互いに謝罪した事で相殺である。良いな?」
「え、あー、そう……なのかぁ?」
もっともらしい言葉で言いくるめられている気がして思わず首を傾げる。そんな猪々子の様子に苦笑した後、袁紹はおもむろに彼女の頭を撫でた。
「うわ!? いきなり何すんだよ麗覇様」
「しおらしい猪々子が可愛らしくて、ついな」
「だ、だからってガキじゃ無いんだからさぁ」
「そうであるな、すまぬ」
猪々子に窘められ素直に手を引っ込める。彼女の言葉は照れ隠しからきたものであったが、何故か袁紹はされを察することが出来ず。以後軽々しく女性に触れるべからずと、胸中で誓った。
もっともその誓いは、可愛らしい猫耳に破られるのだが……それはまた別の話。
料亭で袁紹と猪々子の距離が狭まった数日後、袁紹はある私塾に通うことが決まり、斗詩と猪々子の両名はそれに追従した。
そしてそこで曹操を始め彼女の側近である夏侯惇、夏侯淵、幽州の公孫賛との出会いを果たし。親睦を深めた、猪々子は特に夏侯惇と馬が合い。彼女と真名を交換し合い互いに研鑽する仲となっていた。
「さあ、どこからでも掛かって来るが良い」
「遠慮はしないぞ春蘭、斗詩、審判頼むぜ!」
「うん、頑張ってね文ちゃん」
任せろ、と元気良く返す。袁紹達が私塾に行っている間、猪々子等は時間が有るため殆ど鍛練に費やしていた。そこへ同じく鍛練をしている夏侯惇に誘われ、こうして模擬戦をすることになったのだ。
「先手必勝! うりゃあああああ!!」
「うおっ!?」
勢い良く大刀を振り下ろす猪々子、夏侯惇は後方に下がることで難を逃れる。
「……すごい一撃だな」
「当然! メチャメチャ修行したからな!」
まだまだ行くぜ! 再び夏侯惇に向かって大刀を振るう。初撃に驚いていた彼女は、目が慣れたのか冷静に避けつづる。
「逃げてばっかりじゃ勝てないぜ?」
「それもそうだ」
「っ!?」
避け続ける夏侯惇に痺れを切らし挑発する。しかし激情的なはずの彼女はどこまでも冷静に、大刀を振り切った瞬間猪々子に肉薄した。
「しょ、勝者、夏侯惇さん!」
猪々子の眼前で止められた夏侯惇の大剣、それを見て斗詩は慌てて彼女の勝利を宣言した。
「アタイが……負けた?」
「……」
その結果に猪々子は唖然とする。慢心していたわけでは無い。始めから全力で挑んでいたのだ。対する夏侯惇はどうであっただろうか、最後に見せた動きは本気のものだろう。しかしそれ以外は余裕が感じられ、猪々子との実力差を見せつけ
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