暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第116話 運命の時へ……
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 決戦の舞台。

 それは、キリトとヒースクリフが戦ったあのコロシアムよりも広い。円弧を描く黒い壁が高くせり上がっていて、遥か頭上で湾曲して閉じている。その高い天井に響くのは、がしゃ、がしゃ、と音を鳴らせながら走っているメンバーの足音のみだ。

 1秒、2秒……と逆に耳が痛い。と感じる程、静寂に包まれていた。

「……おい」

 誰かが耐え切れないというふうに声を上げた、その時だ。異常な殺気を、尋常じゃない気配を感じた。

 咄嗟に、リュウキは眼を赤く光らせ、身体の反応に任せるままに、上を見上げた。視線をぎゅっと細くさせ、天井部を睨む。

 その瞬間だった。

「上よ!!」

 リュウキが天井を睨みつけたと殆ど同時に、声が上がる。声の主はアスナ。彼女も気づいた様だ。天井部に、その黒い壁に張り付いているモノの存在に。

 アレは、擬態……ではない。

 薄暗い部屋にはっきりと見える。あれは、白く……そして何よりもデカい。とてつもなくでかく、そして長い。

――……百足!?

 恐らく、見た全員がそう言う印象を受けた事だろう。暗闇でもはっきりと判る白っぽい色で構成されたその長い身体には、無数の足がウネっているのだから。だが、その印象は直ぐに消え去る事になる。存在がバレたと思ったのか、相手は動き出した。

 その姿は、虫というより、人間の背骨。

 灰白色の体躯、そして百足の足の印象だった無数の足は、骨剥き出しの鋭い脚。身体の先端にいく程、その骨は太く強靭になっている。最先端部にあるものは凶悪な姿をした頭蓋骨。……明らかに人間のモノではない。

「……この手の相手が多いな。最近は!」

 リュウキは、その瞬間双斬剣を前に構えた。アイツは、天井部から降りてきた。どしぃぃん、と言う凄まじい振動、地震でも起きたのかと思わせる感覚が皆を襲う。……構えたリュウキだったが、降りてきた場所が違った。

 10mは離れた位置で止まる。

 そして、その姿の隣に、イエローカーソルと共に、BOSSの定冠詞が現れた。《The-Skullreaper》

――……骸骨の刈り手、と言った所だろう。

 あまりの大きさ、そして威圧感に見舞われたせいか、全員が度肝を抜かれてしまっていた様だ。

「固まるな! 距離をとれ!!」

 ヒースクリフの鋭い叫び声が、凍りついた空気を切り裂く。
 伝説の英雄と称される男、そのカリスマ性もこの世界のまさに勇者と言っていい男だと拍車をかける。そんな男の声は、放心仕掛けた男達の意識を覚醒させる事が出来た。

 だが、骸百足に比較的傍にいた3名は、初動が遅れてしまった。

「ッ!!」

 リュウキは、敵を正面から見て目を見開かせた。当初は気付かなかった…
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