暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第116話 運命の時へ……
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本《デフォルト》技。HPを半分以上残しているあの男が、決して死ぬ事は無い一撃。ただ、確認するためのモノだからだ。

 ……その時だった。

 キリトの頭の中にも、言葉が聞こえてきたのだ。

『まて……早いんだ!』

――……それは、誰の声、だっただろうか?

 だが、キリトは考えてられなかった。その言葉の意味も考えてられなかった。敏捷力(AGI)の全てを脚に込め、ヒースクリフとの距離を縮めその胴体部を狙う。この時ばかりは流石のヒースクリフも目を見開いて驚愕な表情を浮かべていた。咄嗟に、左手の盾を掲げてガードしようとしたが、キリトはヒースクリフの防御の癖を覚えていた。

 直線攻撃で、胴体部を狙った攻撃をする際は、胴体部を覆う守りをがっちりと固める。今、晒しているのは、顔、脚。

 ……キリトの真の狙いは、胴体部ではなく、顔面部だった。空中で鋭角に軌道を変えて、守りきれていない部分を突く。


 がきぃぃぃんっ!! と言う音が、周囲に木霊する。

 ……それは、通常では有り得ない効果音だった。

 武器でもなく、盾でもなく、鎧でもない部分を突いたと言うのに、まるで金属に弾かれた様な音が響いたのだ。それは、間違えていなかった。見えない障壁に、キリトの剣は阻まれ、そしてヒースクリフの頭上にとあるシステムカラー・メッセージが表示されたのだ。

 《Immortal Object》

 ……それは、不死存在。
 この世界の死が絶対的なモノである以上、プレイヤー達には持ち得ない属性。そう、ヒースクリフがあのデュエルの時に、見せた表情の意味はこれだった。この神的保護が暴露されてしまうことだったのだ。

「キリトくん、一体何をっ……!!」

 キリトの攻撃に驚き声を上げて駆け寄るアスナだったが、更に驚くべき光景を目の当たりにして、目を見開かせた。ヒースクリフのシステムタグを見て。アスナは勿論、周囲のプレイヤーも、キリト自身も、ヒースクリフでさえ、まるで時が止まったかのように動かなかった。

 時が止まった世界で、動いたのは、システムタグが消滅する所のみだった。

「システム的不死……? って、どういうこと、ですか……? 団長……」

 戸惑ったかの様なアスナの声にヒースクリフは、何も答えない。

「ユイちゃんの時と同じ……っ」

 リュウキを支えていたレイナも、漸く我に帰った様で、目を開かせていた。あの時のユイも、攻撃を遮り、そして不死表示があった。つまり、団長も同じ存在、だというのだろうか……?

「いや……、もっと性質が悪いモノだ……レイナ」

 リュウキは、手で支えながらゆっくりと起き上がる。自分の後ろにレイナを隠すようにし、ヒースクリフを真っ直ぐ見つめた。

「……これが、
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