暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第116話 運命の時へ……
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なかった。

――たとえ、オレが負けて消滅したとしても、君達だけは生きてくれ。
――……リュウキ、オレが消滅したら……アスナを頼む。

 その言葉を飲み込み、キリトは立ち上がった。両手で音高く、2本の剣を抜き放つ。

「キリト!! やめろ……っ!!」
「キリトーッ!!」

 抜いたと同時に、声が再び聞こえた。エギルとクラインが必死に身体を起こそうとしていたのだ。……だが、まるで頭から巨大な手で押し付けられているかの様に、動くこともままらなかった。キリトは、まずエギルと視線を合わせ、小さく頭を下げる。


「エギル。今まで剣士クラスのサポート、サンキューな。知ってたんだぜ?口ではなんて言っても、お前が儲けの殆どを中層ゾーンのプレイヤー育成につぎ込んでいたことをな。」


 そのキリトの言葉を聞いて目を見開く巨漢の男。誰にも言ったつもりはない事だったから。

 そして、次に悪趣味なバンダナの刀使いに目を向ける。クラインは、何度も何度も何か言葉を探すように呼吸だけを繰り返していた。キリトが想うのはこの世界が始まった後のこと。

「……クライン、あの時お前を……置いていって悪かった。……ずっと後悔してた」

 掠れた声でそれだけを言った途端に旧友の両目に光るものが浮かび上がる。そして、たちまち滂沱の涙をあふれさせながら、クラインはもがいた。もがきながら叫ぶ。


「て……てめぇ!! キリトぉ!! 謝ってんじゃねぇ!! 今謝るんじゃねぇよ!! 許さねぇぞ!絶対に許さねぇぞ!! 帰ってメシの1つでも奢ってからじゃねぇと!!」


 ここまでのキリトの言葉をゆっくりと……何度も頭の中で再生する。


 あの男は、なぜこんな事を言う?
 …最初に見せた自信のある表情は嘘だったのか


 なぜ……今になって……、そんなことを……?


 そして、キリトはクラインに向かって、右手を持ち上げぐっと親指を突き出す。

「判った。約束するよ。次は向こう側でな?……OFFをやろう」

 また、約束を言っていた。あの男は死ぬつもりはない。そもそも、死ぬつもりなら、約束なんかしなくていい。

「なぁ……リュウキ」
「っ……」

 キリトは、後ろで倒れふしているであろう男の姿を思い描きながら言葉にする。

「オレはさ、お前のこと、本当に憧れてたんだぜ?あのβテスト時代からずっとよ。……いつの間にか先に行かれ、追いついても、追いついても離されて……離されて……、悔しさも当然あったが、それ以上にお前は、すげぇってずっと思ってた」
「………」

 リュウキは何も言わなかった。

 ……だから、なぜこんな話をする? これじゃあまるで……。

「でも、実際に色々と付き合ってみたら、お前って可
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