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ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第116話 運命の時へ……
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指を動かす時間の方が早かった。左手を振り、出現したウインドウを操作したかと思うと、飛びかかった男は、一瞬空中で静止し、そして倒れた。そのHPゲージのグリーンの枠がイエローとなり、点滅していた。
――状態異常:麻痺状態だ。
茅場はそのまま、指を止めずに動かし続ける。クリックの音が1つ聞こえる度に、1人、1人が倒れていく。最終的には、アスナも。
「き、りと……くん」
倒れるアスナをキリトは支える。……キリトには麻痺は来なかった。
「ぐっ……!!」
「りゅ……き、くん……」
キリトの隣にいたリュウキとレイナも殆ど同時に倒れた。……その伸ばした手は、レイナの手を掴むことなく、虚空を切った。
動けるのは茅場とキリトのみ。
この男がラスボスであるのならば……、その力はこれまでとは比べ物にならないのだろう。ソロで勝てるとは到底思えない。つまりは……。
「……どうするつもりだ。この場で全員を殺して隠蔽する気か……?」
「まさか。そんな理不尽な真似はしないさ」
紅衣の男は微笑を浮かべたまま、首を左右に振った。
「こうなってしまえば致し方ない。予定よりも早いが、私は最上層の《紅玉宮》にて、君たちの訪れを待つ事にするよ。……育ててきた血盟騎士団、そして攻略組プレイヤー諸君を途中で放り出すのは些か不本意だが、……何、先ほどはああは言ったが、君たちの力ならきっとたどり着けるさ。……だが、その前に」
茅場は言葉を切ると圧倒的な意志力を感じるその双眸でキリトを見据えた。動けることができる唯一の男を。
そして、右手の剣を軽く床の黒曜石に突き立てる。
「……キリト君。君には私の正体を看破した報酬を与えなくてはな。無論、リュウキ君もそうだ……が、私に刃が到達したのはキリト君の方が早かった、LAの様なものだと思ってくれ給え」
リュウキの方をチラリと見たヒースクリフは、そう言うと薄く笑った。リュウキを選ばなかった事には、彼なりの訳は勿論ある。
勇者として設定したのが二刀流スキルだ。魔王との一騎打ち。
それには勇者がしなければ格好がつかないだろう、そう考えていたのだ。
「チャンスをあげよう。今この場で私と1対1で戦うチャンスを。無論不死属性は解除する。……私に勝てば、ゲームはクリアされ、全プレイヤーがこの世界からログアウトできる。……どうかな?」
その言葉を聞いた瞬間、キリトの腕の中で自らの自由にならない身体を必死に動かし、首を振った。
「だめ……、ダメだよキリト君。あなたを、あなたを排除するつもりなんだわ。今は、今は退いて……!」
「そう、だよ!口ではなんて言っても……、何とでもできる、じゃない……っ!こ、こんなのワナだよっ……」
アスナに続き、レイ
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