暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第115話 Dead or Alive
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怖い。自分自身よりもずっと、ずっと怖い。……だから、私の本心は 逃げたいって思ってしまってる。そんな怖い所になんて行かないで、あの暖かい所。……朝は小鳥の囀りと暖かい光が満ちている世界。……夜は星が光り輝いて、夜でも寂しくないって照らしてくれる世界。あの場所で皆で……ずっと、ずっと」
レイナは切ない吐息を漏らしながら続ける。
「……でも、私達には……出来ない。出来ないんだよ……。……リュウキ君も気づいているんだよね?私達には……私達には……っ」
レイナは、最後まで言う事が出来なかった。
そう、それはリュウキがかつて、レイナ達に言いかけた事だった。この世界では、……いや、オンラインの世界で現実の話はタブー視されているから、この話は誰ともしなかったけれど。
……彼女は判っている様だった。
「……オレ達にはあまり時間が残されていない。だから、今を戦うしかない……んだ」
リュウキは、抱きしめ返しながらレイナの言葉を繋げた。……彼女がここまで口にした以上は、もう黙っていても不安を煽ってしまうだけだから。
今現実の身体は、植物状態の様なものだ。
生命維持装置などの様々な精密機械の元、栄養管理、介護の元、どうにか生かされている。そんな状態が、これからも未来永劫続けられるとは思えない。幾ら、医学が発達したって、……身体は日々衰えていくから。
だから、絶対的なタイムリミットは存在する。
「う、ん、……きっと、個人差はあると、思うよ。……わ、たしはリュウキ君とずっとずっと、一緒にいたい。隣で生きていたい。ちゃんと、お付き合いをして、リュウキくんのこと、もっともっと知って、私のことも知ってもらって、本当に結婚して――……、一緒に歳を重ねていきたい。……だからっ」
これからの未来を夢見る少女。
ゴールの見えない迷路で迷っていても、描いた未来を思い描いて、そこに憧れている少女。そんな彼女も、折れそうな心を必死に支えて、運命を切り開こうとしているんだ。……これ以上、弱気になる事、挫ける事など、出来る筈もない。
彼女が目指しているゴールに辿り付きたいのは自分も同じなのだから。
「……オレは、レイナを好きになれて良かった」
リュウキは、レイナの身体を一度離し、レイナの目を見つめた。彼女の目には涙がまだ流れている。
「その未来に行く為にも、今を戦おう。……一緒に」
「うん……」
きっと、大丈夫だ。一緒なら、何だって出来る。……何だって乗り越えられる。胸の中に、未だにしぶとく忍び込んでくる、悪寒を振り払うように……リュウキはレイナの身体を強く抱きしめた。
〜第75層・コリニア ゲート広場〜
時刻は、午後12時50分。
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