十九話:因縁と日常
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あるんか?」
「―――ッ!? 羨ま……いえ、妬ましい…ッ!」
試合的には負けているにも関わらずに終始煽っていたアインハルトちゃんだったがジークの俺と一緒に寝たことがある発言でこれでもかとばかりに顔を歪ませる。
因みにこのやり取りはジークがフロントチョークを決めた状態で行われているのでセコンド以外には聞こえない。
というか全体に聞こえていたら恥ずかしくて死ねる自信がある。
後、アインハルトちゃんはなんで知っているんだ? 俺は教えた覚えなんてないぞ。
「君とはご先祖様のこと以外にも話し合わんといけんことがぎょーさんありそうやな。でも、今はおやすみや」
「……空破―――断ッ!」
「まだ、落ちてへんかった!?」
アインハルトちゃんが打撃を加えて絞め技から抜け出す。
すぐさまジークが逃がさないように攻撃を仕掛けるがその手はすり抜ける様に躱されてしまう。
そして、生み出した一瞬を逃がさずにアインハルトちゃんの強烈なカウンターがジークの顔面に入る。
観客席で先程の女の戦いなど知らずに喜ぶヴィヴィオちゃん達。
出来る事なら俺も何も知らずにあの中に入りたい。切実に。
それと今の攻撃は―――
「……マズイかもな」
「確かに強烈な一撃でしたがそこまでですか?」
「違う、マズイのはアインハルトちゃんの―――命だ」
危惧した通りに顔を上げたジークの目は冷たく澄んだものになっていた。
WAGAYA NO OWARI 以来だな、あれを―――エレミアの神髄を見るのは。
「ガイスト・クヴァール―――」
鉄腕から放たれる一撃は全てを破壊しつくす。
アインハルトちゃんが回避に全力を注いでいなかったらやばかったな。
「チャンピオンの爪がリングを……抉り取った?」
「あれがジークの奥の手……というか禁じ手だな」
「見たことはありますが何故禁じ手なのですか?」
「去年ミカヤの右手首から先を粉砕したやつだ。……エミュレートを軽く超えてな」
「ッ! じゃあ、さっきのがアインハルト選手に直撃したら…マズイですね」
エルスの声に無言で頷く。
因みに俺は未だに手錠で拘束されているためにいまいち緊張感が出ない。
何はともあれ、エレミアの神髄での勝利は基本的にジーク自身も望んでいない。
コントロール出来るのなら別なんだろうが……今のジークには難しいしな。
こうして考えている間にもジークは圧倒的な力でアインハルトちゃんを屠っていく。
「マズイです! あの距離で無防備な相手に大技を放ったら…ッ」
「それをさせない為に俺がいる!」
俺だけがあいつを止めることが出来る魔法の言葉を言える。
出来れば言いたくないが背に腹は代えられない。
アインハルトちゃんの為に、なに
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