繰り返される時の中で
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俺はバツの悪さから少しいじけるようにして椅子に座る。
はたから見ても態度の悪い奴だ。
周りからはどう見えてるのだろうか?
「雪ちゃんに『もしも』ということで、前の状況を話しました」
だからなんだっていうんだ。
こんなのは所詮夢なんだよ。
お前は死んだ。
紗由利さんも死んだ。
想夢も死んだ。
俺と持上は今囚われの身で殺されかけてる。
京は俺たちを殺そうとしている。
なら、ちょっとぐらい夢を見させろよ・・・。
もう・・・あんな現実はいやなんだよ・・・!
「雪ちゃんは喜んでその状況を受け入れました。『何も肯定されず、認めてもらえなかった自分がほんの数日の間でもそうなれたのならとても幸せだ』とさえも言いました」
「ッ・・・!」
「・・・あなたはそれでもまだ雪ちゃんを不幸にしますか?あなたはそれでもまだ逃げることができますか?」
「お・・・俺は・・・ッ!」
「・・・以上です。もうこの機会では私はあなたの前に現れることはないでしょう。・・・数日後、チャンスがまた訪れると思います。その時はちゃんと雪ちゃんと向き合ってあげてください」
それだけ言って利英は去って行った。
自分が頼んだ分と俺が頼んだ分の金を置いて行った。
ハッ・・・せめてもの情けってかよ・・・。
「こんなもの・・・!」
俺は・・・また人を踏みにじるのか?
これが利英の最後の情けなのだろう。
俺はそこまでひどい男なのか?
そうだ、俺はひどい奴だ。
自分さえよければそれでいいんだ。
「・・・クソッ!」
俺はその振り上げた手を戻す。
結局俺はどうしようもないクズだった。
臆病なやつでしかない最低のクズだ、ゴミだ、虫野郎だ。
金を払い、店を出る。
そういえば、最近央山との仲も壊れた。
おかしいな、あいつと俺は親友のはずなのに。
京と付き合い始めてから・・・いや、あの瞬間雪菜を無視してから全てが狂いだした。
みんながみんな苦しんでいる。
利英も。
俺も。
もちろん雪菜も。
すべて俺のせいだというのか?
何もかも俺のせいなのか?
・・・そうなのかもしれない。
利英は虐められているという雪菜を元気づけようと頑張っているようだ。
ちゃんと現実に立ち向かっている。利英もつらそうだった。いじめられた雪菜のことを話すとき、とてもつらそうにしていた。きっと、見ているのもつらいんだろう。
いじめを止められるだけの力がなく、ただただ慰めることしかできない自分が嫌なのだろう。
雪菜も立ち向かっているはずだ。
ちゃん
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