紗宮京の記憶の欠片
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う、と現実から目をそむけようとしたことさえあった。
この戦争は後から知ったのだが、もともとは政府と革命軍の内乱から起きたものだったらしい。
そして、革命軍が敵対国に働きかけ、国家間の戦争にまで発展したのだという。
当然政府側も周辺諸国に働きかけて援軍を要請、そして敵対国も援軍を要請し・・・とネズミ算式に膨れ上がることは最早明白だった。
そして、それから数年の月日が流れた。
既に六か国以上での争いが続けられている中、次第に戦争はピークを越え、徐々に沈静化しつつあるものだとだれもが思っていた。
しかし、地方では政府軍や革命軍が略奪をおこない、民衆を搾取していた。
政府軍は「暴動を繰り返す革命軍を鎮圧するための物資提供」をうたい、革命軍は「自分たちが勝利した暁には国中に今よりももっと大きな富を授けること」を約束し、それぞれ搾取を繰り返していた。
そんなある日私は一人の少女と出会った。
その少女は強姦され、子供を連れていた。
日本でいう高校生になるぐらいの年齢の少女が赤ん坊を連れていた。
私はなんとなくその少女たちに食糧を分け与えていた。
どうせ、ありあまっているんだ。少しぐらいはいいだろう。
ある日、偶然だがミルクの粉を手に入れた。
もっとも水は貴重で手に入らなかったため、唾液でうまくとかし、口移しで飲ませていた。
・・・正直、ここまでしたのはその少女が私と同じ日本人だったからなのかもしれない。
だが、それ以上にきまぐれ、という面が大きかった。
いざとなれば、こいつに爆弾でも任せて突撃させれば戦車の一台ぐらいは吹き飛ばせるし、食糧と交換するのにも役立つ。
私にとっては所詮その程度でしかなかった。
その数か月後。
再び戦争は激化し始めた。
しかし、他国が関与することはなく、文字通り政府軍と革命軍の一騎打ちだった。
革命軍はこの数か月と力をつけた。
対する政府軍はこの数か月、周辺諸国などとの交渉などにより、疲弊していた。
そこを狙ってのこの行動なのだろう。
そんな日に私は撃たれてしまった。
何度も撃たれたことはあったが、今回は足を撃たれてしまった。
近場からの狙撃だった。
すぐに位置を特定し、しとめはしたもののおそらくしばらくは不自由な生活が続くものだと思った。
足を負傷したのは大きい。
いざ、逃げようと思っても逃げることが困難になるからだ。
隠れてやり過ごそうと思うのは大ばか者のすることだ。
戦車は大砲を撃ってくるし、兵士だって手榴弾を投げてくる。
爆発に巻き込まれて死ぬか、隠れていた瓦礫に押しつぶされて死ぬかの二択しかない。
そんな最悪な状況で私は足を負傷してしまった。
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