12部分:第十二章
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てから言う。
「百人よ」
「フランスだけでか」
「ええ。それでね」
さらに述べてきた。
「イタリアでは六四〇人、ドイツでは二三一人よ」
「いいねえ、まあスペインでのことは聞かないでおくよ」
「日本では一〇〇三人ね」
笑って続けてきた。
「そんなところね」
「そりゃまた凄い」
声でお手上げといった仕草を見せる。
「そこまでなんてな」
「関心してくれたかしら」
「まあね。ところでそちらの兄さんは?」
「私はそちらは全然駄目です」
話を振られた速水は苦笑いを浮かべて言葉を返してきた。
「そうは見えないけれどね」
バックミラーで速水の顔を見ながら述べる。
「その顔で」
「一途でして」
笑って言う。
「そうしたことはこちらの方程には」
「そうなのかい。まあ人それぞれだね」
運転手は彼のその言葉に頷いてみせた。
「俺だってかみさんと一緒になるまで相当遊んだしな」
「遊んでこそが華」
沙耶香は深い笑いと共に言う。
「そうよね」
「あんたは遊びがわかってるね」
思わず言った。
「そこまで言えるなんてね。その若さで」
「運がいいことにね」
「運がいいのか悪いのか」
それはあえてぼかした。
「それはわからねえけれどな。まあ遊ぶのも悪くないもんさ」
そう述べるとアパートの前に着いた。薄茶色の石造りの所々に緑の蔦が見えるいささか古めかしい雰囲気のアパートであった。感じが出ていると言えば出ている。
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