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零から始める恋の方法
カラオケ
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 不意に立ち止まってこんなお願い事をするのもなんだか不自然な話だ。
 どうして私はもっとうまく自然な流れにすることができないのだろうか。
 自分の不器用さ加減に腹が立つ、とはこのことか。


 「ああ、別にいいぞ」


 少し雰囲気が変わっていたので身構えていたものの、思いのほか軽いものだったので安心したようだ。
 だけど・・・。


 「あ・・・あの・・・できれば・・・その・・・」


 「まだ何かあるのか?遠慮することはないさ、言ってみろ」


 「そ・・・その・・・二人っきりで行きたい・・・です・・・」


 言ってしまった。
 これは私の勝手な思い込みかもしれないが、もしかしてデートと言うやつなのではないだろうか。
 だとしたら私は今上元先輩をデートに誘っていることになる。
 

 そ、そもそもアレだけくじを引いたのに、なんで上元先輩とペアになれないのかが不思議です!
 央山先輩と3回ぐらい歌って、利英さんとは二回ぐらい歌いました!
 でも、上元先輩だけ来なかったんです!
 だから、今度こそは一緒に二人で楽しく歌ってみたいんです!


 「ああ、別にいいぞ。ただ、そろそろ顧問が返ってくると思うから少し時間が空くかもしれないけどな・・・。ま、そこは我慢してくれよ?」


 「は、はい!」


 そう言って、私の頭をまた少し乱暴に撫でてくる。
 でも、この瞬間が今日一番の幸せだったのだろう。




















 
 で、翌日。
 昼休みに利英さんが私力作の海苔弁当を食べながらこんなことを言ってきた。


 「そういえば、雪ちゃんって携帯持ってたっけ」


 「あ、最近買おうか悩んでるんです」


 「んー・・・よければ、放課後見てくる?」


 なんというか、最近利英さんはなんでもその日中に済ませようとしてくる気がする。
 気のせいだろうか。


 「別にかまいませんが・・・お金がちょっと・・・」


 「大丈夫だよー。どーせ、私も買い換えたかったから一緒にかっちゃおう!二人で買うと半額なんだって!」


 ということは、実質一台分で二台の携帯が買えるということか。
 これはかなりお得だ。


 「でも、数量限定だから急がないといけないんだよね・・・。今日部活大丈夫?」


 「ええ・・・少しいけないことですけど、なんとか休めそうですので・・・」


 「そっか・・・。なんかごめんね?」


 「いえいえ、別に大丈夫ですよ。携帯電話があると部活内での連絡なども便利になりますし」
















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