第二十六話 日高中佐!作者はお茶が好きだ!!その十一
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「非常に」
「そうですね、頑張っている我々にと」
「俺達にもだな」
「下さったんだな」
「いや、君達には送っていないとのことだ」
日高は誇らしげになったジャスティスカイザーの二人にはこう言った。
「我々にだ」
「じゃあ何で俺達今飲んでるんだよ」
「美味いぜ、この紅茶」
「しっかりと飲んでるぜ」
「どのお茶か名前も言って当ててるぜ」
「余りものだ」
二人が飲んだものはというのだ。
「競技に使うな」
「それかよ」
「それっていうのかよ」
「ちっ、俺達はそうなのかよ」
「余りもの飲ませてもらったのかよ」
「先程のイギリス王室御用達もだ」
そちらの紅茶もというのだ。
「余りものだ、ついでに言えばだ」
「ついでに?何だよ」
「どうだってんだよ」
「宮内省には我々に健闘を祈りますと書いてあった」
日帝衆の彼等にはというのだ。
「イギリス王室もな、しかしだ」
「それでもか」
「俺達には何も書いてないのかよ」
「俺達も飲むってのに」
「応援も何もなしかも」
「一切スルーだった」
これが現実だった。
「君達についてはな」
「本当に主役の扱いが悪い作品だな」
「俺達冷遇され過ぎだろ」
「作品中誰も応援しねえな」
「こんなヒーローありかよ」
二人はまたしても自分達の作品中での扱いの悪さについて思うのだった、だが思うだけで行いをあらためるつもりはない。
それで勝負を続けてだ、いよいよ。
「最後かよ」
「最後の勝負かよ」
「これまでお互い双方正解」
「それも全員な」
一人としてお茶を間違えてはいないのだ。
「ここで一つでも間違えたらな」
「誰か一人がな」
「それで勝負が決まるな」
「最後の最後で」
こう二人で話した、そして。
尚智がだ、尚武に囁いた。
「やるか」
「いつも通りか」
「ああ、いつも通りな」
まさにというのだ。
「仕掛けるか」
「そうだな、じゃあいつも通りな」
「やるぜ」
「秘策をな」
二人で話してだ、そのうえで。
二人は実にわざとらしくだった、宙に。
「あっ、手が滑った」
「しくじったぜ」
棒読みと共にだった、宙に何か黒い粉を撒いた。審判役の伯爵はその二人に眉を顰めさせてこう問うた。
「この匂い、コーヒーか」
「ああ、インスタントコーヒーだよ」
「それだよ」
二人は伯爵の問いに堂々と答えた。
「持ってたんだけれどな」
「溢しちまったよ」
「いや、しくじったぜ」
「失敗したよ」
「お茶の飲み比べの時にコーヒーか」
あらためてだ、二人に問うたのだった。
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