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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
第四十話 緊張の続く試合その十四

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「とても凄い人だから」
「何時でも全力を尽くされるでしょ」
「何に対してもね」
「だからね」
「この試合も」
「勝っても負けても」
 例えだ、どちらでもだというのだ。
「全力を尽くされるわ」
「悔いがない様に」
「やっぱり私もね」
「勝って欲しいよね」
「ええ、ただね」
「負けてもだね」
 僕もここで行った。
「日菜子さんには」
「悔いがない様にして欲しいし」
「悔いがない様にしてくれるね」
「そうしてくれるわ」
 こう信じての言葉だった、そしてだった。
 そうしたことを話しつつ僕達は日菜子さんの三回戦を観た、相手の大阪の人は池田さんの言う通り素早かった、その速さは。
「忍者みたいな」
「そう言われてるのよ、実際に」
「素早いから」
「言った通りでしょ、素早いからね」
「攻撃が当てにくいし」
「向こうの攻撃は当たる」
「急所も衝くのよ」
 相手のそこをというのだ。
「それがあの人の攻め方なのよ」
「ううん、確かに強いね」
 一回戦、二回戦のそれぞれの相手の人達と比べてもだった。今回の相手の人は。
「優勝二回もしただけあるよ」
「そうでしょ、私だったらね」
「池田さんだったら?」
「絶対に勝てないわ」
 池田さんは苦い顔で言った。
「とてもね」
「あの人には」
「相当に強いわよ」
 池田さんは唸る様にして僕に話した。
「日菜子先輩でもね、これは」
「まずいかな」
「あれだけ攻めてもまだかすりもしてないでしょ」
「そうだね、しかもね」
 相手の人の動きを見るとだ、こちらは。
「ただ素早いだけじゃなくて。攻撃が」
「的確よね」
「蝶の様に舞い蜂の様に刺す」
「そんな感じね」
「これは日菜子さんも」
「ええ、まずいわね」
 劣勢は否めなかった、日菜子さんはこれまで以上の強敵と勝負をしていた。僕も池田さんも観ていてこのことを認めるしかなかった。


第四十話   完


                            2015・4・19
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