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逆さの砂時計
自暴自棄になった男
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「アリアに遠慮するか? いや、アリアを信仰する者に、か」

 アリアは、人間共の心を支えられる唯一本物の道標たる者。
 ロザリアをロザリアとして望むなら、女神アリアは否定するしかない。
 女神アリアを自分の欲求だけで世界から失わせて良いものだろうか……。

 とか、考えてんだろうな。
 クソ真面目に。

「いえ。私は彼女を選びました。女神としての彼女ではなく、彼女自身を。自らの職務を投げ出してきたことに、後悔はありません」

 手を下ろして前を向くクロスツェルに、迷いは見えない。

「行きましょう、ベゼドラ」

 今更、女神アリアを信仰し直す気はない、か。
 信仰心で寿命を縮めた奴とは思えない転身ぶりだ。
 潔いんだかなんだか。

「ああ」

 もっとも。
 途中でコイツの気が変わって、アリア信仰に戻りたいとか言い出しても、可能性がある以上は、首に縄を縛り付けてでも連れて行くがな。
 最悪、道中で死体になったとしても。




 人間との旅なんぞ、面倒なだけだ。
 クロスツェルは弱ってるし、人間の習慣にも付き合わなきゃならん。
 鬱陶しい。煩わしい。面倒くさい。

 だが、置いては行かないと決めた。
 連れて行くと決めた。
 取り戻すと決めた。
 
 ああ、胸クソ悪いが認めてやるよ。
 言葉になんかしないけどな。
 もう一度お前に会ったら絶対、問答無用で犯してやる。ちくしょう。

 覚悟しておけ、バカ娘が!


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