自暴自棄になった男
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だ。
クロスツェルの生命力や魂の輝きも、契約前より格段に質が落ちている。
結果的に俺の封印が完全に解かれた今、もはや神父の器は用済み。
エサとしての価値も無い。
連れ歩くなんて面倒はお断りだ。
と、思ってた。
礼拝堂でクロスツェルと話してる間に、レゾネクトがベラベラと喋ってたアリアに関する情報と、アリアに戻った瞬間のあれの姿を反芻したことで、一つの可能性に思い至るまでは。
「やっぱ、小さい村とか集落のほうが見つけやすいのかもな。年寄りが多い集まりほど、奴らにとっては非現実的な現象を、尊いものとして受け入れる傾向が強いし」
俺が適当な場所で薄汚れた白い壁にもたれかかって腕を組むと。
クロスツェルも俺の隣に立って、同じ建物に背中を預けた。
「……人間の生活と心理に長けているのは、やはり、人の心に付け入る悪魔だからこそ、ですか?」
「ただの観察結果だ。何百年何千年、個体が死んで世代とやらを重ねても、人間の根本にある性質ってのは全然変わってねぇんだよ。利己的で排他的。自分に都合が良ければ、神の恩恵やら奇跡だと喜び、悪ければ悪魔の仕業で世界の終わりだと悲嘆する。邪魔になった者は連携してせっせと追い出し、不快にならない使える奴だけを歓迎する集団心理の中に居るクセに、自分がそうされるのは死ぬほど嫌なんだぞ? 滑稽すぎて笑いが止まらないな」
手間隙かけて育てた子供も、いずれ大きくなって親を疎む。
意思を交わせる間は、それなりの愛情を向け合うらしいが。
老人になって会話すら難しくなると、大抵の親は本格的に捨てられる。
世話で疲れた自分自身を守る為に、赤の他人へ親を預ける子供もいれば。
一人でどうにかしてくれと放置する子供もいる。
たまには、親を殺して自分も死ぬ子供もいる。
本心で「頑張ったね」と労い、笑いかけながら看取る子供はごくごく稀。
自らの時間と愛情を注いだ子供達に捨てられ。
村や集落で身を寄せ合い。
虚ろになった老人達が最終的に求めるものは、救済だ。
これまでの自分は何だったのかという迷いと絶望感に、都合が良い答えを与えてくれる特別な存在を求める。
そんな連中にとって、人知が及ばない神秘な事象はさぞ心地好いだろう。
一ヶ所に点いた種火は、我にも我にもと際限なく呼び求める声を伝って、瞬く間に燃え拡がるものだ。
俺が初対面でいきなり封印してきやがったアリアの名を知っていたのも、そうした噂に助けを求める女を喰ったからだった。
「そういう人間ばかりではないと思いたいですね」
苦笑するクロスツェルに、知ったことじゃねーなと、両肩を持ち上げる。
「ですが『村』のほうがと思うのでしたら、何故『街』に来たのですか?
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