暁 〜小説投稿サイト〜
異界の王女と人狼の騎士
第四話
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
裂いた。
「うぎゃー」
 これまた情けない悲鳴。

 二匹のモンスターは如月から飛び退き、距離を置く。
 次の攻撃に備えて体勢を整えているんだ。

 案外やるじゃないか。
 俺は少し感動していた。

 あんな小さな、ほとんど実物大のポ○モンが触手お化けに善戦している。いやむしろ押しているくらいだ。いけ、このまま押し切るんだ。一気にいっちゃえー! そんな想いで彼らを操る少女を見た。

 そして驚愕した。

 少女は膝をつき、肩で息をしていた。額からは汗がしたたり落ち、異常なほど困憊している。
 ただでさえ白かった彼女の顔はいまや蒼白になっている。ふらついて立っているのがやっとの様にさえ見える。
 俺は慌てて彼女に駆け寄り、体を支える。

「おい、大丈夫なのか? 」

「ハハハ、思った以上に消耗が激しいみたい……。3体しか起動させていないのにこの有様とは……、情けないものね」

 喋るのもやっとの状態の少女に、俺はどうしていいかわからなかった。ただわかることはこのままでは少女の体が保たないということ。とにかく、ここから彼女を連れて逃げなければならない。
 教室の中では二匹のモンスターと触手の化け物が対峙している。ファーストアタックで二匹のポ○モンが与えたダメージはすでに回復しているようで、雷撃や居合い切りといったワザはすでに見切られ、以降何度か行った攻撃は、まったく奴にダメージを与えなくなっていた。
 ポ○モン達を覆っていた青白いオーラは次第に光を弱めている。
 まるでエネルギーが切れるかのように。
「そうだ、与えた命がもうすぐ尽きる……。やはり、今のわたしではこれが限界みたいね」
 悟りきったような表情で少女が呟く。その瞳には諦めの色が浮かんでいる。

 触手が乱れ飛び二匹に命中する。派手に吹っ飛ばされ、壁に激しく打ち付けられる。
「たいして面白い遊びじゃなかったね。こんなおもちゃで僕を倒そうなんて計画からして無理があったね」
 余裕の笑みで2mの高みから如月が見下ろす。

 勝負あった感じだ。
 壁に打ち付けられた二匹はよろよろと立ち上がる。もはや勝敗は決しているがその瞳には諦めはない。まるで意志でももつように二匹はお互いを見つめあい、そして頷いた。消えかけた青白い炎が再び燃え上がる。
 かけ声らしきものをあげ、二匹は駆け出す。如月に向かって。

「今更! 笑止! フハッ」
 複数の触手が彼らを襲う。
 彼らは左右に回避行動を取りながら触手の攻撃をかわし、如月の本体に飛びついた。
「なにすんじゃあ、このクソ虫」
 如月が叫ぶ。

 二匹はこちらを見た。
 ……そして笑ったように見えた。
 その真意を悟った俺は、少女を庇うように地面に倒れ込む。

 刹那、二匹の体が激
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ