第四話
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人体模型だった。誰かが落書きしたチョビ髭がしっかりとその顔にあったから。おそらく人間の雌なら性器があるであろう場所に深い大きな穴がポッカリと口を開けている。
そいつの頭部に載っけられたティアラには、沢山の宝石が埋め込まれているのがわかる。キラキラ光っていて、すげえ高そう。
「シュウ、下ろして」
少女が言い、言われるままに彼女を下ろした。
彼女は模型の処まで歩くと、頭のティアラをはずし、自分の頭につけた。
「まあ時間稼ぎにはなったけど、時間が足りなかったかしら。もう少し時間があれば、もっと騙せたのに。…点あーあ、それにしても、状況はあまり芳しくないようね」
そう言って振り返る。
本来の持ち主の元に戻ったティアラはより輝きを増したようだ。テレビで見た王族がつけているのとそっくり。そしてそのティアラを得た事により、少女からもオーラが漂う雰囲気さえある。
「さて、どうしたものかしら……ね」
腕を組み、何かを考えるかのように呟く。
「うへうへゆへ。お前、もう逃がさないもんね。お前、捕まえたも同然。絶対許さないもんね。めちゃめっちゃのグッチャグッチャでヒーヒーにしてやるな。中に俺のモノ突っ込んでかき回してやるよ。……ふたりめ、ふたりめ。僕ってモテモテ」
如月が嬉しそうな笑みを浮かべて「キャッキャキャッキャ」と触手の上で揺れている。すでに衣服は全て脱ぎ捨てたのか千切れてなくなったのか全裸になっている。股間で扇風機の羽根のようにグルグル回る、三つ叉のドス黒い一物がテラテラ光って気持ち悪い。
俺は学ランの胸ポケットに携帯を入れたままだったことを思い出した。こんなバケモノどうにかできるかはわからないけど、とりあえずこんな時は警察だ。素早く取り出そうとする。しかし、ストラップが引っかかってモゴモゴしてしまう。そういや寧々に無理矢理つけられたポ○モンのストラップをつけたままだった。取り出した携帯電話にはピンポン球大の2体のモンスターがぶら下がり、ゆらゆら揺れている。
「シュウ、それを貸しなさい」
俺の携帯に気づいた少女が命令する。
「ちょっと待って、警察を呼ぶからその後な」
素早く110をプッシュする。
……プー、プー。
間抜けな話し中の音。
110番が話し中なんてある?!
そんな俺を無視して、少女は携帯電話をひったくる。二匹のポ○モンを握ると思いっきり引っ張った。ぷちりって音がしてストラップからちぎれた。
「あー、なにすんだよ」
情けない声を上げてしまう。あのストラップは寧々からのプレゼントだから、乱暴に扱われショックだ。
「すまないわね、シュウ。……大事なものなのはわかるけど、命には代えられないでしょ。だから我慢しなさい」
「何を我慢するんだい? 」
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