第三話
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丈夫かも。
「これもくっつけたら? 」
そう言って少女が俺の脚を差し出す。グシャグシャに潰れた切断面をこちらに向けているのでまたまた気持ち悪くなる。自分の体なんだけどね。
「ああ、ありがとう」
俺はそれを両手で受け取った。なんと複雑骨折してたはずの右手はもう完全に治癒していておまけに普通に物を掴むことさえできるようになってる。
ズシリと重い。まだテロテロと血が垂れている。
千切れた部分にその脚の切断面を当ててみる。肉と皮膚と骨とよくわからないものが引っかき回されたようになっていて本当に元に治るのか疑問に感じる。それでもこの体の変化を見る限りでは治るんだろうなあ。そう思いながら押し込むような感じで両方の切断面をくにくにと動かしながらうまく合うように合わせてみる。
すぐに反応が起こった。シュワシュワ音を立てて泡立つ切断面。本気で燃えているように熱くなる。
「あちち」と声を出してしまう。そして、あっと驚く。いつの間にか声が出るようになっているんだな。これも回復の現象の一つなんだろう。
治癒中の箇所は猛烈に熱くなるみたいだ。現在、左眼球、左耳及び左側頬、右手首、腹部、脚の付根が燃えるように熱い。まあ全身もなんだか熱っぽいけど。裂傷や擦過傷は瘡蓋に覆われるとすぐに治癒し、剥がれ落ちていく。まるでフケみたいだ。
再び脚の付け根を見てみるともう殆どくっついているのがわかる。ぐちゃっとなっていた切断面は瘡蓋に覆われ、それがぱらぱらと剥がれ落ちていくともうそこには傷すらついていないフレッシュな皮膚になっている。思い切って脚を動かしてみる。
……動いた。最初は少しぎこちなかったけど、ちゃんと思い通りに動くようだ。
「信じられないな……」
俺は呟いた。
「ほぼ完治したみたいね。……さあ、立ってみなさい」
言われるままに起き上がってみる。少し蹌踉けるがすぐに感触が戻る。軽く腕を回したり屈伸したりしてみる。全く問題ない。痛みもない。……なんということだろうか。本当に治ってしまった。これはまるで魔術だ。夢のようだけど現実なんだよな。すると前にいるこの金髪の少女の下僕になったっていうのもこれまた現実なんだな。……ちょっとおっかない感じだけどそんなに悪い奴に見えないから、まあいいけど。
「左眼はまだ完治してないみたいだけどそれもすぐに治るわ。……のんびりしてられないわね。じゃあ行くわよ」
そう言って彼女は歩き出す。
「え、逃げるのか? 」
彼女は振り返り呆れたような顔をした。
「お前、まさか戦うつもりだったのか? だとしたら、お前はまったく救いようのない馬鹿ね? 自分の力の限界をあれほど見せられたばかりなのに。……せっかく治ったのにまたバラバラにされるつもりなのかしら。残念だけど、わたしは何度もそんな気持ち
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